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【不動産Q&Aシリーズ】
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<最新記事>
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〜無断駐車・罰金○万円頂きます!看板の実効性!?〜
Q:
京都、八坂神社近くに土地を所有しています。現在空き地で月極め駐車場(月額賃料25,000円)として利用していますが、観光に来られる地方の車がしょっちゅう不法駐車をするので、入り口のまん前に「無断駐車厳禁!発見したら罰金3万円」の大看板を掲示しました。実際に無断駐車をした車の所有者に請求したいのですが、支払わせることが出来ますか?

本件ご質問の結論から申し上げますと、我が「行列の出来る不動産無料相談所」の回答者軍団が出した答えは「支払わせることが可能」90%!
ご質問の要点を整理しますと、

(1)地主は不法駐車を抑止するため自ら入り口に「無断駐車厳禁」の大きな看板を誰にでも確認出来るよう設置した。

(2)地主の駐車場は月額賃料25,000円、罰金として明示した額は30,000円である。

(3)不法駐車をした者には、この看板がよく見えていた。当然、罰金30,000円と書かれた文字、金額も認識していた。

(4)不法駐車した者は、ここが月極め駐車場として利用されている私有地であることは認識していた。

以上の要点から、ご質問への回答をいたしますと、本件のような場合、民事上の損害賠償請求が認められる可能性はかなり高いと推察できます。一般的な不法行為を成立させるには、故意、過失の立証が必要となります(過失責任主義)が、車を止めた側にすれば、出来心(常習的に利用している場合は別)といえども、目の前に看板が視認出来、且つ罰金の文字を見れば無断駐車が無過失だとは到底認められません。さらに、一般不法行為成立には権利侵害、損害発生、またそれらの因果関係が求められ、違法性阻却事由が必要とされますが、本件はその全てにおいて地主の有利は疑いようがありません。また、罰金(正確には損害金)の金額に法外な違法性はなく、月額賃料の2倍以下なら問題なく認められる金額でしょう(もう少し請求出来そうです)。ただし、注意しなければならないことは、強制的に徴収したり、ひっ捕まえて強迫したりすると、貴方が別の不法行為または強要、暴行の罪に問われることも。法治国家としての自力救済禁止はこのような場面でも当然に効力を発揮しますので、必ず法的手段に頼らねばならないということです。しかし、その場で車の所有者が素直にお金を差し出したら、受取っても差し支えないでしょう。おっと、領収書は切って差し上げてくださいね。(民法709条)

2010.06.30

〜賃貸住宅管理業者の登録制度とは?〜
Q:
大阪市内で主に賃貸仲介と管理を取り扱っている者ですが、先般国土交通省から「賃貸住宅管理業の適正な運営確保」を目的とする賃貸管理業者登録制度を実施するとニュースで聞きました。どのような内容で、業者はどう対応すればよいのか、是非教えてください。

国土交通省より、平成22年3月末、賃貸住宅管理業者登録制度が公表されました。法律ではなく、国土交通省告示という省内規定により制度運営を開始することが予定されていますが、賃貸管理業者の業務に重大な影響を及ぼすと考えられますので、登録制度の施行前に十分に内容を理解しておく必要があると思います。
制度の目的は、登録事業者の業務についてルールを定め、業務を適正化させて消費者の保護を図るというものですが、対象範囲には居住用賃貸物件の管理、サブリース業に限られ、事業用賃貸物件専門の管理業者や貸家業(自ら貸主)は今回の制度の対象とはなっていません。制度の内容としては、任意登録制ですが、宅地建物取引業者の免許の基準又はマンション管理業者の登録拒否要件(成年被後見人、破産者・禁錮以上の刑に処せられ2年未経過の者、暴力団関係者等)などと同様、人的要件などの登録要件を設け、管理業務基準(業務処理準則)を遵守することが求められています。ルールに違反し、もしくは不正・不当な行為をした者への罰則は当然ありませんが、登録の削除(強制)と一定期間の再登録禁止などが盛り込まれ、消費者に対する注意喚起材料と期待されています。また、管理業登録業者には、毎事業年度決算終了後3ヶ月以内に国土交通大臣に対し業務内容と財産状況の報告が義務付けられ、法令違反や財産状況による業務改善を指導、監督されることになっています。
 更に登録事業者には、賃借人へ向けた管理業務内容の書面交付や、賃貸人に対する管理受託内容の重要事項説明と書面交付、サブリース業者には転借人に対する賃貸借契約内容の重要事項説明と同書面交付を義務付けるなど、今までとは格段に業務内容が増加しますので、その対応を準備する必要があります。ただし、この制度自体、運用と並行して関係者や一般消費者からのパブリックコメントを募集し、改善を図っていくとしており、また賃貸管理業関係団体からは法制化を望む声も上がっているなど、民法、借地借家法、宅地建物取引業法などの関係法令との整合性も含め、今後更に検討が加えられていくことが考えられます。

2010.06.03

〜瑕疵担保責任の履行に関する措置の説明とは?〜
Q:
兵庫県内で仲介を主に取り扱っている業者です。昨年の10月1日に施行された「特定住宅の瑕疵担保責任の履行に関する法律」によって、我々仲介業者も重要事項説明の際に売主の瑕疵担保責任について説明するようになっていますが、それまでの瑕疵担保責任の説明と今回の法律と併せてどう説明すればよいのか、混同してうまく書類に書けないのですが、ご教示願います。

今回のご質問、実は会員諸氏から「重要事項説明書の記載方法がもうひとつわからない」部分として多くのお問い合わせを頂いていますので、今一度、法体系と宅地建物取引業法(以下業法)35条書面の記載方法を整理してみましょう。

(1)瑕疵担保責任とは
先ず、不動産の瑕疵担保責任は民法570条により売主が負うものとして定められており、買主がその事実を知ったときから1年以内に売主に対し、契約の解除又は損害賠償の請求を認めていること(民法566条)はご承知のことと思います。この部分はいわゆる重要事項の説明においてではなく、売買契約書(業法37条書面)に記載すべき内容として取り扱っているのが実務です。
(2)瑕疵担保責任の履行に関する措置
しかし、平成12年4月1日施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下品確法)」で、新築住宅の取得に関して瑕疵担保責任の特例(10年間の修補義務)が設けられ、平成18年6月21日に「建築物の安全性の確保を図るための建築基準法等の一部を改正する法律」の公布により、業法関係では『当該宅地又は建物に関し、重要事項の説明事項に瑕疵を担保すべき責任の履行に関し、保証保険契約の締結等の措置を講ずるかどうか及び講ずる場合における措置の概要』が新たに追加されました。
(3)特定住宅の瑕疵担保責任
更に、品確法の規定をより実効性のあるものとするために、新築住宅(平成21年10月1日以降に引き渡される新築住宅=特定住宅)の施工者、売主に対して10年間の瑕疵修補に耐え得る資力の確保を義務付ける「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」が平成21年10月1日から施行されています。(新築住宅=竣工後1年未満の未入居住宅)

つまり、宅建業者が重要事項の説明を行なう場合、上記(2)、(3)の説明義務を負い、(2)の説明は新築住宅のみならず、中古住宅や宅地にも適用があることに注意が必要です。従って、35条書面では、土地建物について調査した(2)の内容を説明し、当該住宅が特定住宅であれば(3)の説明も必要になりますので、該当する不動産ごとに記載するなど書面を整理すると、スムーズな説明ができるのではないでしょうか。

2010.03.01

〜現在の仕事をしながら不動産業を始めることはできるの?〜
Q:
私は現在、会社員をしています。いずれ起業をと考えているのですが、今は資金も乏しく不況で貯金もなかなか増えません。お金を余り使わず、今の勤務先も辞めずに不動産業を始めることは出来ますか?

まず宅建業は許認可業種ですので当然免許を取得する必要があります。免許取得に必須の条件が(1)供託金1000万円または国土交通省指定の保証協会加盟(弁済業務保証金分担金60万円+協会諸経費100万円程度〜所属県によって差異があります)(2)従業者5名あたり1名の宅地建物取引主任者)(3)事務所(行政庁により定められた所定の体裁)です。

(1)については、資金の問題がおありのようですので、社団法人不動産保証協会への加盟となります。ただし、保証協会では資金の貸付や分割支払は法律で禁じられていますのでご自身でご用意いただく必要があります。

(2)は、開業場所の都道府県によって管轄する協会の窓口が異なりますので、当協会・近畿流通センターホームページの「開業をお考えの方へ」ボタンからご確認頂きお気軽にお電話ください。

(3) ですが、宅建業は厳格に規定された事務所形態を整えなければ免許の認可が下りません。ご自宅でも申請は可能ですが、独立した事務所(例えば喫茶店の片隅で事務所を兼ねるなど、境目が明確でない事務所は不可)に接客スペース、専用回線の電話、FAXが確認でき、外部(建物の外)から宅建業の事務所であることが確認できるよう、看板や業者票と呼ばれる事業者の内容を記した表札を掲げなければなりません。したがって、開業資金の最低限度(全日本不動産協会(関連団体含む)、不動産保証協会への加盟料と保証金分担金、事務所の体裁を整えるための経費など)の金銭は必要となります。

また、貴殿は現在会社員ということですが、貴殿が専任取引主任者を兼ねるのであれば、兼業は許されません。他に専任取引主任者を雇用する場合、法人免許の場合は代表者であっても非常勤が許されますが、政令使用人を届け出る必要があります。また、個人免許の場合は代表者の非常勤は認められておりませんので兼業は不可ということになります。

* 全日本不動産近畿流通センターWebサイト→http://www.kinki.zennichi.or.jp/

2010.02.08

〜敷金礼金ゼロ&フリーレントの入居前解約!?〜
Q:
今春に就職する予定の新卒者です。入社式が4月1日で、即日2週間の研修があり、その後配属支店が決定すると言われていますが、地方から出てくるため、一応配属確率の高い大阪市内で部屋を押えようと思うのですが、お金も無いのでゼロゼロ、フリーレントで探し、契約だけしていた場合、万一入居前に解約したとき、何らかのペナルティは必要でしょうか?

ご質問者のように、賃貸借契約の始期がかなり先付けで、且つ100%入居が確実ではない事情をお持ちの方が特にこの季節は多く、更に不況が重なると賃貸仲介会社や賃貸物件管理会社の営業スタイルもユーザー囲い込み(青田刈り)の手法として、ご質問にあるような賃貸借契約条件(敷金なし、礼金なし、家賃発生日自由設定)を可能とするようになってきました。
ユーザーサイドからは非常に有利な条件ですので、飛びついて契約してしまうのも分かりますが、賃貸といえども一定期間、自分の城として生活の基盤を築く場所になるのですから、時間の経過と共に物件に対する不安や事情の変更等で、入居前に契約を解除することも多いと聞いています。そのような場合、契約書に記載された解約に関する特約を確認し、その約定に沿って解約することが必要となります。賃貸借契約の始期(初め)は何月何日か?始期前の解約に関する違約金等の条件はあるか?更に敷金礼金ゼロゼロの場合は家主側の逸失利益に対する損害金条項などが決められていることもありますので、しっかりと契約前に確認することが大切です。
通常の賃貸借契約における対価と比べて極端に入居者側に有利な金銭条件の場合、中途解約や入居前(契約締結後であれば法的に差異は無い)解約の損害金として、賃料の数カ月分相当額を定めていても、ケースによっては違法であるとされないこともあります。
また、賃料発生時期は契約始期(入居開始日)となっていても、但し書等で「入居予定日までに本契約を解除するときは、契約締結の日から起算した日割賃料を負担する」というような条項はよく目にします。ですから、入居日までに解約しても1円も要らないとか、とりあえず押えておいて、他に気に入る物件が出てきた時は止めればよいなどと思わず、その物件に関する契約内容の書面を確認することが必要です。
一方、家主側としても極端に短い期間での解約や、中途解約に伴うリスク回避を損害金条項等で補完することは、条件設定に関して当初から敷金礼金を課さないという内容が、借り手側の交渉を容認し、借り手に有利な条件に変更したものではないので、約定に無い損害金請求に関しては、家主有利とはなりませんので特約には配慮が必要です。

2010.02.01

〜省エネ環境ブームに乗れるか?住宅エコポイント創設!〜
Q:
今年こそは「マイホーム」と思っている倹約主婦の友子と申します。去年はハイブリッド自動車や家電エコ製品が不況にも係わらず飛ぶように売れた1年でしたが、聞く所によると住宅にもエコポイント制度があるとか?どんな住宅を建てればポイント還元を受けられるのですか?住宅だから「ン百万円」とかポイントがつくのかしら?教えて下さい!
2009年来、環境政策の一環としての特定省エネ商品に対するエコポイント制度が、ハイブリッドカーや超省エネ家電製品の買い替えバブルを引き起こしました。この度、経済産業省・国土交通省・環境省の政策(三省合同事業)として、「住宅版エコポイント制度」の創設が閣議決定され、平成21年度第2次補正予算の成立を条件に、エコポイントの対象として住宅(指定部材含む)が仲間入りを果たします。詳細は未定ですが、主な内容として決定されている部分をご紹介しますので、ご参考下さい。

■ エコポイントの発行対象
補正予算の成立日以降に、原則として、工事が完了し、引き渡された住宅が対象
(ただし、エコ住宅の新築については、平成21年12月8日以降に建築着工したものに限る。)
(1) エコリフォーム
・窓の断熱改修(内窓設置(二重サッシ化)、ガラス交換(複層ガラス化))
・外壁、天井又は床の断熱材の施工
※これらに併せて、バリアフリーリフォームを行う場合、ポイントを加算
(2)エコ住宅の新築
・省エネのトップランナー基準(省エネ基準+α(高効率給湯器等))相当の住宅
・木造住宅(省エネ基準を満たすものに限る)

■ エコポイントの交換対象
○ 家電エコポイントの交換対象商品等
・商品券・プリペイドカード(環境寄付を行うなど環境配慮型のもの、公共交通機関利用カード)
・地域振興に資するもの(地域商品券、地域産品)
・省エネ・環境配慮に優れた商品など
※家電エコポイントに比べ、発行されるポイント数も大きくなることから、交換対象を多様化する予定

(平成21年12月8日「明日の安心と成長のための緊急経済対策」)

2009.12.22

〜入居差別の罪と罰…仲介会社の立場は?〜
Q:
滋賀県で賃貸仲介をメインで業を営んでいます。近隣に有名大学が数校あり、最近は留学生も部屋を探しに来ますが、管理物件のオーナー様の中には「外国人」に対する入居条件や審査にかなり神経を遣われる方がおられ、特に国籍によっては私どもに「断ってくれ」と審査も拒否されることもあります。弊社ではやんわりと「人権擁護」をお話しますが、その時代の教育を受けられた方は、「文化が違うと入居者同士のトラブルになる」「滞納賃料を精算せずに国へ帰られたら請求出来ない」などの理由でかたくなに拒みます。営業担当もトラブルを回避する方が得策と、最近は外国人に積極的ではなくなっており、頭を悩ませています。
年末も押し迫って来ますと、賃貸専科の会員諸氏はシーズンに備えて忙しく物件の整理をなされていることと思います。最近は大学や企業も随分国際化が浸透し、多くの留学生やビジネスマンが日本に滞在するための住居を必要としています。「人種」「国籍」「言語」などの別に捉われず、日本人と同じ扱いで住居の斡旋を行なうことは当然のこととされていますが、現実はまだまだご相談の内容に近いこの国の実情が見て取れます。仲介会社の方々はこぞって「差別」はしていないが家主がダメだと言うものを無理に斡旋できないと困惑顔で語られます。また同じ日本人でありながら、出身地や職業、性別、過去の経歴などによる「差別」もまだまだ存在しています。

 不動産業実務における差別的取扱いの撤廃には、当協会も随分以前から法務省や関係官庁と協力し会員の意識啓発に力を入れておりますが、契約行為を司る私法の大原則としての「私的自治の原則」、憲法の趣旨としての「思想・言論の自由」も保障されなければならず、鶏と卵のような論争に終始してしまい、この種の裁判でも、国及び地方行政や仲介会社の責任論には言及せずに、殆ど「契約締結過程における信義則上の義務違反」を理由に不法行為による損害賠償を認めるに留まる判決になっています。いわゆる「差別」行為そのものの法的裁量(憲法、国際規約などに基づく違法性)には踏み込んでいないのが司法判断の現状です。しかし2006年10月5日の尼崎差別事件大阪高裁判決では、「国籍による不当な入居差別は憲法14条1項に違反する」という判断を示して不法行為を認定。併せて家主における「不当な差別による拒否」に対して、仲介会社は撤回を求めて働きかける義務があるともしました。

四方を海に囲まれた日本は有史以来、政治上の単民族国家として歴史を重ねてきました。しかし現代社会は、国家民族の壁を越えた国際社会の一員としての自覚と認識を求めています。個人がどのような感性や思想信条を持とうとも、法律行為においては国際社会人として振舞うことが今や必要なのです。理屈ではなく、社会全体のルールとして確立された取扱いを徹底しなければ、この問題の着地点は見えてこないように思うのです。
(参考法令と国際条約:日本国憲法14条1項(法の下の平等)・国際人権A規約・同B規約・人種差別撤廃条約・東アジア居住福祉宣言)

2009.11.25

〜業者売主の瑕疵担保免責特約の効力・・・古家付きのリスクは?〜
Q:
大阪市内に土地(古家あり)を所有している不動産業者ですが、このたび購入希望者が現れたので、地上建物をこぼろう(解体)と段取りしていたところ、買主から「そのまま建物を壊さずに譲ってくれ」と言われました。当方では築年数不詳のオンボロですので、後から瑕疵や不具合を言われても困ります。土地だけの売買としたいのですが、買主が修理して利用したいということと、住宅ローンの関係で建物の登記も残さなければならず、法令違反にならぬよう瑕疵担保免責を約定したいのです。よろしくご教授下さい。
ご質問の文面から、貴殿は民法566条、570条及び宅地建物取引業法40条に規定された夫々の定めについて十分ご理解されたうえでのご質問と思慮いたします。今回、瑕疵担保責任についての説明は省略させていただき、核心の部分を検討してみることにします。

 さて、宅地建物取引業法40条(強行規定)において否定される瑕疵担保責任の免責特約及び民法566条3項の期間の設定について2年以上とする特約以外の無効(同条2項)は、民法570条の「隠れたる瑕疵」について規定していることは言うまでもありません。「隠れたる瑕疵」とは、通常一般人が持ち得る注意を払っても発見できない程度の瑕疵を言い、目的物の売主が予め告知したものや契約の時点または目的物の引渡しに際して発見し得る程度のものは、後に発見されたとしても民法570条の適用を認めるものではありません。また宅地建物取引業法40条は、瑕疵担保責任の特約の制限をした場合の規定であり、特約がない場合には適用されないことも理解したうえで契約の方法を考えることが肝要です。以下、本件ご質問に対する契約内容を規定する場合のポイントを整理しておきますのでご参考下さい。

《本件特有の事情》
(1) 買主における契約の目的が建物利用であることは明白。
(2) 売主は本件建物に関し売買(対価)の対象と考えていない。
(3) 売主は不動産業者、買主は一般個人消費者である。

《契約規定の考察》
 (1)、(3)により売主は消費者契約法も視野に買主が不測の損害を被らないよう配慮する必要性から、瑕疵担保責任の免責または制限を特約するのではなく、契約締結前に現地を見分する機会を与え、目視できない建物構造上の各部の瑕疵についてもその恐れがあることを予め告知した事実を書面に記し、且つ見分時点で発見できなかった瑕疵が後に露呈したとしても上記売主の告知内容に包括されるよう、(2)の建物を利用するリスクを買主が承知のうえで本件契約を締結する旨を明記した書面を取り交わすことが有効と考えます。

2009.10.8

〜新手の振り込め詐欺か!…ミスでは済まない、管理会社の誤請求?〜
Q:
京都市内でワンルームマンションを借りて5年ほど住んでいます。2年ぐらい前から郵便ポストに「当マンションの管理会社が変わりました。契約書の更新事務を行いますので、賃料の1か月分相当の更新手数料が必要です。下記口座まで至急お振込み下さい。 家主○○ 新管理会社△△」という書類が投函されていました。最初は無視していたのですが今年もまた同じ書類が届いたので大家さんに電話して確認したところ、管理会社のことは知らないという返事でした。これって、新手の振り込め詐欺でしょうか?気持ち悪くって…。
主文・被告人△△を懲役三年に処する。 判決理由・被告人は当該マンションの賃借人に対し、家主○○の署名を当人の許可無く使用し事実と異なる文書を作成のうえ、更新手数料名目の金員を搾取しようと企て当該虚偽文書を作成し、当該賃借人宅の郵便受けに投函したことは、私文書偽造行使等並びに偽造私文書行使の罪に該当する。また当該賃借人においてその支払を回避したといえども詐欺罪の未遂に当たる。

(法令の適用)
罰条 刑法159条1項 同161条第1項 同246条第1項及び250条
刑種の選択 懲役刑選択
宣告刑 懲役3年

上記仮想判決文のごとく、本件ご質問の内容から導かれる結論として、もしも家主側が「許可無く自分の名前を使用され、支払根拠の無い金銭を不動産管理会社が搾取しようとした」として捜査機関(警察・検察庁)に告発したとしたら、その結末は実刑を覚悟しなければならないかも知れません。刑法159条は私文書の偽造、同161条は偽造文書の行使について、246条は詐欺罪の要件と刑罰を定めています。いかに相手方管理会社が、事務員の人為的ミスにより誤って投函されたものであるという主張を展開したとしても、当該文書に所有者○○名を記して特定表示していることから、事前に自社の管理物件であるか否かは容易に判別出来るはずであり、意図的に作成されたものと認定され、悪質で反論の余地はないと一刀両断にされるでしょう。このような事例は請求名目の違いはあっても、本質的に刑法上の詐欺罪を成立させる行為が満たされますので言い逃れが出来ません。根拠のない利益の搾取(不法領得)など人間のモラルの問題ですから、ここは思い切って最寄り警察の生活安全課にご相談されたらいかがでしょう。 「ゴメンで済んだら警察いらん!!」
2009.9.1

〜特殊な取引形態の注意義務…仲介業務の範囲とは?〜
Q:
兵庫県宝塚市内で傾斜地の土地の媒介を受けましたが、宅地の殆どが斜面地であり、一般に売りに出してもなかなか買い手が見つかりそうも無く、売主と相談の上、建売業者に住宅を建築させて分譲住宅として販売する計画を立てました。金融機関から融資を受けるため、建売業者に土地の所有権をとりあえず移しましたが、その後、建売業者が倒産し、所有権を戻すために訴訟を起こさざるを得ず、その裁判費用を売主から請求されています。すべて売主の了解の下で行った事業なのに、仲介業者として責任を取らなければいけないのでしょうか。
不動産売買等の仲介契約は、準委任契約と解するのが通説・判例です。これにより、不動産仲介業者は、民法644条により善管注意義務を負います。本件取引が、外見上は建売事業の形態を採っていますが、実態は一般人の売主を巻き込んだかなり特殊な販売方法を採用しているために、当該売主に対する保護対策が万全であったかどうかを考えなければなりません。所有権を回復させるために、訴訟を起こさざるを得なかったとあるように、万が一の場面を想定した保全策を講じなかったと指摘されても仕方ない業務上の過失があるように思えます。当然、売主には「売れた時払い」の約束であったと思われ、代金の授受無しに所有権を移転させる荒業を行なうには、登記上のテクニックとして、いくつかの保全策を講じるべきではなかったかと考えます。宅地建物取引業者の注意義務の程度については、抽象的には「職務の専門性に鑑み高度のものが要求される」とされていますので、事故に遭遇してからでは遅いのです。

なお、ご質問にある売主からの賠償請求が、裁判に掛かった費用ということですが、法的な解釈はともかく、今回の取引事故の原因を考え、売主の責任と仲介業者の責任(信義誠実の原則も含め)の範囲を話し合い、費用の一部を負担されてはいかがでしょう。

本件の解決策とは少し趣旨が違いますが、訴訟費用についての通説・判例をご紹介しますと、一般的には「裁判費用」として提訴から判決にいたるまでの掛かる費用全てを捉えているようですが、民事訴訟で判決文に付される「訴訟費用はOOの負担とする」というところの訴訟費用は、敗訴した側が支払い義務を課されます。しかし、その内容は純粋に訴訟に要した(裁判所に支払った)費用と実費交通費等であり、弁護士に支払う弁護士報酬は含まないとしています。なぜなら、日本の裁判所では、「仮処分申請」も「訴えの提起(その後の訴訟遂行)」も、必ず弁護士を訴訟代理人としなければならないとはしていないからです。従って、弁護士費用を証明しても敗訴側にその費用までも賠償義務を負わせないのが通例です。
2009.4.7

〜資材置き場の賃貸借…よくある一時使用目的の誤解!〜
Q:
滋賀県大津市で建設不動産を営む会社から、この度、小規模のマンションを建設するのですが、土地が狭いために、資材置き場及び現場事務所設置用に私の所有する近くの空き地を一時的に貸して欲しいと申出がありました。土地は一度貸すと二度と戻らないという話はよく聞きますが、一時使用目的の契約であれば大丈夫と言われました。この方法による賃貸借契約で、注意しなければならない点を教えて下さい。
土地の賃貸借(借地契約)は、当事者の事情における様々なパターンによって、貸主、借主いずれの側にも、その権利義務に種々の制約が生じてきます。ご質問中にもあるように、「土地は一度貸せば二度と戻らない」という云われは、近代法整備がなされた明治後期から戦前戦後にかけて、建物ノ保護ニ関スル法律(明治42年法律第40号)借地法(大正10年法律第49号)借家法(大正10年法律第50号)の制定の目的である「借りる側の保護」を基本に運用されてきた結果、地主等貸す側の心情を表現した言葉です。

しかし、本問に言う「土地の一時使用」とは、建物の所有を目的としない土地の利用ですから、前述した種々の旧法や平成4年施行の「借地借家法(平成3年法律第90号)」とは全く無縁の法律行為であり、民法601条以下の規定が適用される(モノ全般の貸借)ことになります。従って貴殿がご心配されるところの「土地は一度貸せば二度と戻らない」と云われる理由、「借地権の存続期間」「借地契約の更新」「地代増減請求権」「建物買取請求権」などは認められず(ただし、任意で約定することは可能)、一定の期間(制限なし、例えば3日間でも可能)一定の賃料を支払うことを約し、期間の満了を以って無条件で土地を明け渡すことさえ約定しておれば何ら問題は生じないのです。最近は不動産のプロの方達でも、この種の賃貸借と、建物所有目的の一時使用賃貸借を混同し、単なる資材置き場の賃貸借契約や駐車場使用契約にさえ、借地借家法の規定を意識しすぎる約款を目にします。大切なことは、賃貸借の大分類を目的が建物所有非所有かで分けることなのです。

さて、ご質問者のなされようとする契約に必要な特約を最低限にまとめると次のとおりとなります。

(1) 契約の目的を明確に規定すること(建物非所有一時使用目的であること)
(2) 契約の存続期間を設定すること(更新を承諾する場合も回数、期間を明示すること)
(3) 現場事務所等の設置を承諾する場合も簡易な構築物に限り設置可能とし(宿舎等生活施設は避けるほうが無難)、登記させない旨を明確に記すること
(4) 賃貸人の義務について使用方法に沿った範囲で必要な規定をしておくこと
2009.3.2

〜外はカラカラ、中はベチョベチョ…結露は誰の責任か!〜
Q:
昨年の秋口に今のマンション(鉄筋コンクリート造・築13年)に引っ越してきました。冬場に入り、部屋の中がものすごい結露で、タンスの裏などはクロスにカビが生えている始末です。あちこちに結露対策の水取りパックを置いていますが、子供も小さいので健康にも良くないし、引越しを考えています。入居して数ヶ月、せめて家主に敷金・礼金全額を返してもらうか、引越し代を請求したいのですが、入居者の不注意と言われ、頭に来ています。
賃貸、分譲を問わず、鉄筋コンクリートのマンションなどにお住まいの方から多数寄せられるご相談です。本来であれば、結露の原因を調査し、責任の所在を明らかにすることが解決の方法を探る上で重要なのですが、分譲物件ならまだしも、賃貸物件ともなれば、そこまで手間隙、お金を掛けて調査するわけにもいかず、入居者は諦めるしか選択の余地が無いのが実情のようです。

さて当該マンションは、建築後13年が経過しており、客観的には躯体構造のコンクリートが完全に乾き切っていない「内部結露」と言われる現象の可能性は低いと思われ、室内の温度と外気温の差、及び室内空気の循環の悪さから生じる「表面結露」の可能性が高いと推察いたします。また当該マンションの立地条件が、湿気の多い場所(山の斜面、海、河川の近くなど)に在り、日照通風条件が劣っている(居室が北側に位置するなど)ような場合ならば、尚更結露発生条件が揃っていますので、その住まい方には通常以上に結露に対する特別な対処が求められます。このような自然現象的な事象を予め契約内容に規定することは非常に難しく、裁判所は時に「通常一般人の許容し得る範囲を超える損害」とか「最低限度補償された生活を営む権利を阻害する程度の被害」というような表現を引用し、その害が入居者の責めに帰すべからざる事由(賃貸物本体の欠陥)により発生したと認められる場合に、家主側の債務不履行(賃貸物の管理義務・民法606条)を認めることもありますが、それ以外は、法的に判断を求めることは容易ではなく、やはり住まう側の努力に委ねられる部分が大きい問題と言えます。

なお、入居者が結露の予防または対処を怠ったために、居室にカビを生じさせ、多額の工事費用が必要であることは、通常の使用における損耗とは言えず、賃借人が負うべき賃借物の引渡しに注意義務(善良な管理者の注意義務・民法400条)違反があるとして、損害賠償を請求されることもよくある事例ですから、マンションの賃借人は結露対策に充分注意が必要なのです。
2009.2.2

〜建築条件付宅地と請負契約…白紙解約はいつまで出来る?〜
Q:
この度、建築条件付宅地を契約し、土地の売買契約と同時に建築会社と建物の請負契約を締結しました。その後、2ヶ月間、建物プランの打ち合わせを数回行いましたが、合意に至らず、この契約を解除しようと思い、不動産会社に申し入れましたが、すでに条件が成就しており、解約するなら土地売買契約手付金と請負契約着手金の合計300万円を放棄するよう言われました。建築請負契約は締結したというより「させられた」もので、広告では3ヵ月以内に請負契約を締結することになっています。手付金、着手金は返してもらえないのでしょうか。
2003年(平成15)4月10日付、社団法人・首都圏不動産公正取引協議会による構成団体長宛通知、7月23日付「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」 の改正により、現在では建築条件付宅地の販売方法が緩和されています。新しい公正競争規約では、建築請負契約の締結期限を廃止し、請負業者の制限も無くして自由に建築業者を選択できるように改正していますので、土地の売買契約締結後、6か月以内、1年以内などの請負契約締結を条件とすることも可能です。また請負業者についても、「売主」「売主指定の業者」「予め用意した数社の中から選択」「買主の自由」など、土地売買契約時の当事者間における合意で選ぶこともできます。ただし、広告表示の段階で業者側が付した条件が、この範囲であればそれもまた違法なことではありません。

ご質問者の問題は、「当該土地売買契約と同時に建築請負契約を締結させられた」ことに焦点を絞って考えます。本来、建築条件付という土地の販売方法を許した背景には、建物建築後の販売不振リスクを回避する業者側の利益に対し、注文建築並みの自由な選択権を消費者にもたらすことを条件に認めた特例措置(抱き合わせ販売の禁止・独占禁止法19条及び公正取引委員会告示一般指定10、広告開始時期の制限・宅地建物取引業法33条等に抵触しないとする)であるからです。しかし、本件のように土地売買契約と同時に、とりあえず請負契約を締結させた後に建築プランを決定するような行為は、自由な選択権を阻害し、予め用意したプランに誘引するなど「建売住宅の違法販売」と同じ結果になりますので、当該契約は無効と言わざるを得ないと考えます。この判断を基に、相手方業者と交渉してみて下さい。もし、相手方が応じない時は、所属団体または行政所轄指導課にご相談下さい。
2008.11.4

〜「管理」という響きに潜む落とし穴…人任せは危険がいっぱい?〜
Q:
京都市内に複数のワンルームマンションを所有し、賃貸しています。この度、入居者管理を委託していた不動産業者が行方不明となり、集金した賃料が振り込まれていません。店舗も、もぬけの殻で、担当者や代表者との連絡も取れなくなり、困っています。貴協会の保証協会では、このような場合、持ち逃げした家賃を保証してくれるのでしょうか。
最近、不況のあおりを受けて、このような心苦しいご相談を受けることが多くなりました。被害者の家主さんには大変お気の毒で、掛ける言葉も見つかりません。一番悪いのは当然家賃を持ち逃げした不動産業者なのですが、保証協会ではこのような業務を「宅地建物の取引」とは認めておらず、家主と不動産業者の間に結ばれた「賃料集金代行」の業務委託契約として分離しています。いわゆる「宅地建物の取引に関連して」発生した債権とは認めていないという立場です。従って、保証協会からの弁済は、期待出来そうにありません。

このようなケースでは、賃貸借契約の当事者は貴殿と賃借人であり、家賃の支払い先が当該不動産会社となっている場合がほとんどですから、貴殿は賃貸人として直ちに賃料の支払い先の変更を賃借人に通知し、これ以上被害が増すのを食い止めて下さい。その上で、弁護士等の専門家にご相談され、当該不動産業者との委託契約を解除し、取り込まれた賃料の返還請求を行なって下さい。

賃貸借における業態は、不動産業者自ら貸主または借主、仲介(媒介)業務、代理業務に分類できますが、保証協会の弁済業務の対象となる行為は、宅地建物取引業者が行なう業務(宅地建物取引業)の範疇であり、宅地建物取引業法第2条1項2号の規定により、貸借の代理、媒介しか含まれていません。つまり、不動産業者が借主である場合の賃料不払いであるとか、本件のような賃料の集金代行契約の債務不履行は、保証協会の認証債権とはならないとしています。

不動産業者の中には、賃料集金や賃料不払いの賃借人に対する督促を請け負う「入居者管理」を強く家主に勧める業者もいるようですが、家主としては、係る業者との信頼関係を充分に構築した上で、当該業務の委託を検討されるよう願って止みません。

2008.9.2

〜「我が家も禁煙!?…タバコ愛好家の嘆き」〜
Q:
大阪で賃貸マンションに5年間ほど居住しています。この度、転居を考えていますが、私はヘビースモーカーで、部屋の壁、天井はけっこうヤニで煤けています。最近、タバコが社会問題となっており、部屋を明渡す際に家主さんからそのあたりを指摘されるのではないかと危惧しています。勿論契約書には禁煙の特約などはありませんし、敷引きは家賃の4か月分ほどを支払っています。ヤニ汚れによる費用を負担しなければならないのか、また今後、タバコ禁止とかの特約を付けられる可能性とか、教えて頂きたいです。
最近は、賃貸借契約の開始、終了時における目的物の原状回復に伴う様々な判断や事例がインターネットなどでも多く取り上げられています。しかし、明確な基準や法律が存在するわけではないので、個々のケースで判断が分かれるところですから、本件も貴殿のケースにおいて判断をさせて頂きます。

まず、貴殿の場合、当該喫煙による部屋の汚損に対する原状回復が賃借人負担となるかですが、居住年数5年、契約内容に特に喫煙に関する特約は存在せず、敷引きという賃借人が無条件で負担する金銭対価が賃料の4月分、及び関西圏の商習慣等から判断すれば、貴殿の負担は無いと考えられます。

原状回復を賃借人負担とするには、契約の締結時に負担箇所及び具体的な範囲を明確に定め、賃料その他の金銭的条件と照らして経済的均衡が著しく賃借人に不利益でないことが前提となるからです(借地借家法、消費者契約法、判例等)。この判断基準は、具体的な判例や、国土交通省を始めとして地方行政機関が示しているガイドライン、運用指針などを援用する前に前提となるものですから、原状回復の本質をここで振り分ける必要があります。

次に、今後の賃貸市場において、タバコを取り巻く環境が変化するかどうかですが、ご指摘のとおり、社会問題化する喫煙の弊害として、貸室のヤニ、臭いなどの汚損は通常の使用とは区別され、特殊な使用用途に分類されることも遠くない現実かも知れません。愛好家には実に気の毒ですが、近い将来、禁煙物件や喫煙特約(汚損は賃借人負担で原状回復)などが当たり前になる様相を社会情勢は示唆しています。敷金等に関する考え方も賃借人の利益に傾くにつれ、家主側としても契約条件に原状回復を賃借人負担とさせるべく、詳細な区分を定める傾向が予想されます。経費の軽減を考えることは当然の結果だからです。

「タバコ吸います?じゃあ、家賃、敷金3割増しね!!」

2008.6.24

〜「ウチの真上にアンテナが!…マンション生活も楽じゃない」〜
Q:
居住しているマンション屋上に携帯電話基地局設置の案が出ています。最上階フロアは全室反対を表明していますが、マンションの理事会は設置の方向で話を進めています。当マンションは600軒(全棟は7棟)ほどあり、なかなか反対票をとるのが難しいと考えております。理事はマンションの資産価値が上がると言っていますが(賃料が月20万円入ってくる予定)本当でしょうか。そもそも当マンションは分譲であり区分所有者が反対しているにも係わらず建設できるのですか。回答とともにアドバイスがあればお願いいたします。
一棟の建物を共有する所有権の形態を採る区分所有マンションにおいては、個々人の好き勝手に共有財産を処分、変更出来ないよう、一定のルールを定め、その正当な利益を法律が保護しています。これが「管理組合規約規則」であり、「建物の区分所有に関する法律」なのです。
まず、大前提として、今回の携帯電話基地局設置の行為が区分所有法に定めるところ(処分・変更・管理)のどの部分に該当しているかですが、携帯電話用電波受信アンテナを貴殿が居住されている号棟の屋上部分に設置するということから、共用部分の変更にあたると考えられ、区分所有法には次の規定が示されています。

第17条 共用部分の変更
「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
従って最上階全室のみの反対だけでは600所帯の管理組合員の4分の3に対抗することは出来ないでしょうから、総会議決の際には、単純に151議決権を反対票として集めなければならなくなります(但し書適用の規約があれば、76議決権)。このような特別決議を要する案件は、反対意見を管理組合理事会において充分議論し、全体アンケートや個別意見を参考にしながら進めて行かなければ、後に住民同士にしこりを残すことにもなります。また、資産価値は、組合収入が年間240万円増額し、当該マンションの財産が裕福になるという部分では一理ありますが、設置したアンテナの維持管理費用やデメリットも資料を開示させて検討することは必須です。

そのうえで、秘策を一つ。
17条2項 専有部分の所有者の承諾
「前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」
この定めを援用し、もし、アンテナ設置による重大な影響を貴殿ら上階占有者が少なからず受けるとするなら(例えば、電波障害や電波による健康被害、外観を損なうことによる資産価値の下落など)、関係する当事者の承諾を得なければ決議無効となることをもって、理事会に諮ることができます。充分に納得して結論を導き出してください。

2008.6.19

〜賃貸人の破産…敷金取り戻しの分かれ目は?〜
Q:
平成6年に現在の住居を借り、今も住み続けています。先日、大家さんが来られて「実は近々個人破産をすると思うので、今後のことは債権者の銀行と相談して欲しい」と言われました。この家の契約は、敷金30万円、礼金10万円、家賃は5万円です。契約の時点では銀行からの借金は無く、登記簿もきれいなものでしたが、4年目の平成10年に銀行の抵当権が付いたようです。その後、平成11年に初めて更新の契約を言われ、新しい契約書に署名しましたが、条件は変わらずでしたので、気にも留めていませんでした。契約期間は平成11年から2年間、更新可能で、その後はまた更新契約を行なっていません。大家さんが破産した時、預けた敷金はどうなるのか、また、所有者が変わった場合、ここに住み続けることができるのかを教えてください。
民法619条に規定される「黙示の更新」は、一般的に法定更新と言われ、不動産業界では頻繁に使用される便利な文言となっています。
しかし、通常の賃貸借(この場合は借地や借家を例にとる)契約の約定を見ると、本来の意味での法定更新が適用されている例は非常に少ないということを申し上げておきます。
なぜなら、不動産業界が使用している一般的な約款には、もともと合意による更新を規定し、短期賃貸借(民法602条・平成15年改正により16年3月31日廃止)の制度を取り入れる慣習などから、建物3年以内(土地については5年以内)の契約期間を定めるものが殆どであり、期間満了の都度更新契約を締結する煩わしさを省くために「双方異議を申し立てないときは従前と同一の内容で更新される」との特約により、期間の満了後も賃貸借契約を継続していることを前提とした法定更新とは区別しているからです。

さて、質問者の場合は、契約期間満了前(平成11年)に改めて契約を締結していることから、合意更新とは異なり契約更改と見ることもできます。
その場合は、従前の契約は終了(解約)しており、更改時より新たな賃貸借契約が効力を生じますので、貴殿は平成10年の抵当権に劣後する賃借人ということになりますが、契約期間2年の短期賃貸借は旧法の適用を受けており、家主の破産により抵当権が実行されたといえども、平成21年までは賃借権を対抗できます。
それ以後は競売によって当該借家を買い受けた第三者の明渡し請求後3ヶ月で契約は終了し、借家を明渡さなければなりませんが、敷金返還は買受人に請求することができます。

もし、契約更改が平成16年4月1日以降になされておれば、競売による買受人の明渡しを拒むことができる期間は請求後6ヶ月となり、更に敷金返還を買受人に請求できず、敷金は諦めねばならなかったかもしれませんね。

2008.5.2

〜固定資産税等精算金に消費税って不当利得!?〜
Q:
不動産業者所有の中古マンションを購入し、残代金の精算時に色々な諸経費を支払いましたが、その中で固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金の精算金に消費税が付加されていました。税金に消費税が掛るはずは無く、管理会社に確認すると、管理費等は非課税扱いと言われました。これは不動産業者の不当利得ではないのでしょうか?
固定資産税や都市計画税の納税義務者は、その年の1月1日現在の所有者です。年の途中で所有者が変わっても、その年の納税義務者が変更されることはありません。
従って、取引で行われている「固定資産税等精算」は、税金の精算をしているのではなく、売主・買主間で取り決めた、各々の負担すべき金額(固定資産税等相当額)を売買代金の一部としてやり取りしているのであって、税法では取得価格に含まれると解釈されています。
つまり固定資産税等の精算は、売買契約上の約定として売主・買主間で履行する義務が生じるのであって、精算される金銭は「固定資産税、都市計画税」そのものではなく「固定資産税等相当額」という物件価格の一部ということになります。
ただし、消費税は建物の売買には課税されますが、土地の売買は非課税となっていますので、精算金のうち建物部分相当額が本件の対象となります。

また、商売をしている個人や会社(以下「事業者」といいます)で、基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合、その事業者は消費税の課税事業者となりますので、売主が不動産業者だからということではなく、課税事業者であるか否かが消費税の転嫁に関わってきます。従って、管理費等も、その清算を売主事業者との間で行うのであれば、当該マンションの価格の一部となりますので、消費税を転嫁しても不当利得とは言えないことになります。

なお、一般的に分譲マンションの管理組合が管理費に消費税を転嫁していないのは、管理組合会計が公益法人に準じて行われ、管理費や修繕積立金の徴収が課税対象事業とされないことや、管理組合そのものが収益事業を行うことがなく、課税事業者になっていない等の理由からです。しかし、法人、非法人組合の別には関係なく、管理組合は消費税法上の課税対象事業者ですから、管理組合の課税売上高(例えば施設や備品の売却等)が1000万円を超えた時は課税事業者となり、管理費(積立金は除く)に対して消費税を転嫁することも違法なことではありません。逆に管理費等に消費税を転嫁して徴収すれば、当然に課税対象収益として会計処理をすることになります。

2008.3.6

〜買い付け証明の法的効力…契約締結に向けた義務とは?〜
Q:
不動産業者所有の物件をインターネット広告で見て気に入り、取り急ぎ購入申込書にサインしましたが、その後価格の交渉をお願いしたら「買い付け証明書」記載金額で買わないのなら物件は売れないと言われました。当方はこの物件を気に入っており、売買契約は結んでいませんが、すでに引越し準備や今住んでいる家の処分を他の業者に依頼しています。このまま物件が買えなかったときは、今まで掛った費用や精神的苦痛を慰謝料として請求したいのですが、認められますでしょうか。
我が国の不動産取引の慣行において、売買契約締結の前段として売主・買主の意思を確定させるために「買い付け証明」「売り渡し承諾」なる書面を交付させることが常時行われています。民法555条は売買契約を諾成契約とし、日用品から高額不動産まで、その目的物に係わらず一律の運用を規定しています。

本件ご質問が契約の締結に至っているか否かの判断を求められ、相手方の債務不履行により受けた損害や苦痛を金銭賠償として追及できるかを回答とするなら、結論は「売主買主双方の確定的意思が合致しておらず(最も重要な売買代金そのものが双方の合意に達していない等)、契約が成立しているとは言えないため、相手方は債務の履行期になく、債務不履行の責任を求めることはできない」となります。

しかし、本件交渉の過程で、売主業者が買主に対して契約締結の確実性を疑わせる経緯が見当たらず、価格交渉においても最終的合意を得られる旨買主に期待を抱かせ、買主が現時点でそれを信じ契約成立後の必要な行為に着手したことは無理からぬことであるにも係わらず、売主業者が正当な事由なく契約の締結を拒んだというような事情があるときは、買主の期待を侵害しないよう務める「信義則上の注意義務」があるとして、業者の不法行為が成立する場合があります(契約締結上の過失を認めた事例:福岡高裁判決平成7.6.29タイムス891号)。特に不動産業者は宅建業法31条や47条等により業務について誠実な対応を求められていますので、単なる自己の都合や、買い付け証明書又は売り渡し承諾書を法的拘束力が無いと軽んじ、相手方を翻弄するようなことは厳に慎まなければ思わぬ責任を取らされることにも繋がります。

2008.2.5

〜敷金を返して!!…家主さんちょっとやりすぎ?〜
Q:
退去後、契約書記載の日数を過ぎても保証金が返ってきません。大家に問い合わせすると「原状回復の必要があるので契約書通りの差額だけでは足りない」といわれました。管理業者に相談しても「こちらが仲介したわけではないので…」と取り合ってもらえず、「直接当人同士で話あって下さいと」言われました。契約書には保証金40万、解約時25万差し引き、残りを返すという契約です。居住年数は10年近くになりますが特に設備が使えなくなっているわけではなく、大きく目立つ破損はありません。入居前何箇所かキズや設備の傷みがありましたが、支障がないので了承の上入居。その後、大家が何度か替わり、その損傷箇所が入居前のものかは実証できません。証拠がないと現在の住人の責任で原状回復請求されるのでしょうか?
賃貸マンションの家主は、不動産投資の収支バランスの中で保有物件の売却購入を繰り返し、賃料収入のみならず売却利益も想定して資産運用をするケースはよく見られる形態です。一方、賃借人の側からすれば家主が誰であっても、賃貸借契約の終了時点で当該貸し室の明け渡しに対する原状回復及び毀損部分の賠償責任は負わなければなりません(民法598条、415条)。

まず、毀損部分の判断ですが、当該物件の居住年数及び築年数を考慮し、通常の使用を継続すれば当然に劣化・故障するであろう損傷や毀損(例えばクロスや床の汚れ、破れ、傷、機械設備の経年による動作不良等)は原状回復には含まれず、引き渡し時の状態で返還すれば足りると考えられています。なぜなら、家主はそのようなリスクを賃料や敷引き金という金銭対価で補うことが求められているからで、「入居時点の原状=新調」という解釈で賃借人から改修工事費や修理交換費用を請求することは、契約に特段の合意が無い限り不当利得(民法703条)と判断されます。

次に本件毀損部分を予め知っていたにも係わらず、新家主に通知しなかったのは生活に支障の無い程度の毀損(日常生活で起こり得る破損)であったからと言うのであれば、これ自体、損害賠償の対象では無いと言えることになり、「誰が何時」ということや、証拠の有無を問題にせずとも、家主が負うべき「賃貸物を通常の使用に適する状態に維持する義務(民法606条)」の範囲に含み、貴殿の債務では無いと解釈出来るかもしれません。

また、管理業者が非協力的なようですが、投資物件のオーナーチェンジで所有者変更に伴う事務手続きを代行する業者と、貴殿が斡旋を受けた元の賃貸業者とが異なる場合、当時の事情も把握していない業者が仲裁に入るよりも、貴殿と家主及び中立な立場の専門家を挟むほうが良いのではないかと考えます。家主からの請求に納得出来ないというのであれば、弁護士などに保証金預かり金の返還請求を依頼されてはいかがでしょうか。

2007.12.1

〜「建築条件付宅地の売買」…表示規約上の注意点は!?〜
Q:
奈良県で不動産、建築を営む者ですが、建築条件を付した宅地を分譲しようとしています。最近、不動産公正取引協議会の表示規約が変更されたようですが、土地契約に停止条件をつける場合の注意点をご解説頂けないでしょうか。
不動産の広告を行おうとするとき、公正取引委員会を主務官庁とする業界の自主規制団体である「不動産公正取引協議会」(以下公取協)の定めた「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下表示規約)に従わなければなりません。
ご質問の「建築条件付宅地」の販売については、これまで公取協の定めた表示規約にその規定はなく、同規約施行規則第3条(12)に定めた定義と表示方法に基づき、公取協の運用指針が示されていました。それによれば、購入者と売主事業者(子会社を含む)又は代理人間において建築請負契約を停止条件として土地を販売する場合は、土地購入契約締結後 3ヶ月以内に、売主(売主の100%出資子会社を含む)又はその代理人である建設業者による請負契約を締結すること、及び当該請負契約が成立しなかったときは無条件で受領金銭全部の返還を約することを表示し、当該土地の取引であることを明示すれば独占禁止法19条に抵触しないものと取り扱われていました。
現在では、平成17年11月10日公正取引委員会告示第23号における表示規約第3章(第6条関係・建築条件付土地取引における建物に関する表示)の追加を受けて、「建築条件付宅地」の販売に関する広告表示は以下のとおり規定されています(表示規約6条抜粋)。
 (1)次の事項について見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示
  ア 取引の対象が建築条件付土地である旨
  イ 建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を
   経過した日以降に設定される期限)
  ウ 建築条件が成就しない場合、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨
  エ 表示に係る建物の設計プランについて、次に掲げる事項
   (ア)設計プランは参考一例であって、当該プランを採用するか否かは土地購入者の自由な判断に委ねられている旨
   (イ)当該プランに係る建物の建築代金並びにこれ以外に必要となる費用の内容及びその額
 (2)土地取引に必要な表示事項(表示規約第8条)を満たしていること
2007.11.15

〜『新築青田売りの契約解除・・・履行の着手??」〜
Q:
今年2月に新築のマンションの契約を行い、手付金として50万円を支払いました。 引渡しは9月末頃の予定です。先日、希望の銀行に住宅ローンの事前審査を出したところ、希望額の融資を受けることができなかったため、今後の生活設計や契約を見直した結果、契約を解除したいと思い、7月28日に販売会社へ伝えました。私は自己都合による解約のため手付金を放棄しての解除も覚悟していましたが、販売会社は既にカラーセレクト(無償で選択可能)を行っていて履行に着手しているため、違約金がかかると主張してきました。今回のケースでは違約金は払わないといけないのでしょうか? もしカラーセレクトをしていなければ、まだ履行の着手前なので手付け解約ができると担当者が言っていました。
未完成マンションの分譲を行う場合、商品付加価値を高める手法として、プランバリエーション(可変間取り)、設備品オプション、内装品の色柄選択(壁紙や設備品の配色選択・本件はこれに該当するものと思われます)などが、既定商品である集合住宅の欠点を補う販売戦略として普及しています。このような手法は、購入者側からの要求によって変更を余儀なくされた特別な仕様では無く、予めパターン化された商品の選択肢を分譲業者側の営業戦略として付加して提供しているのですから、その選択を終えたことを以って、消費者が当該契約の履行に着手したと結び付けるには無理があります(本件は購入予定マンションの仕様の一部分を構成しているに過ぎず、商品選択をしなかった場合、もしくは未販売住居においても建築工事が中断することはなく、一定のパターンで施工されてしまう実態から見ても、当事者間の契約の履行とは無関係と言えます)。
また、貴殿が契約の履行に着手したからといって、売主が履行の着手前であれば、貴殿の側から解除を申し出ることが出来るのは当然ですから、手付け解除を援用することについては、特段の事情の無い限り異論の無いところと考えます。新築分譲マンションの青田売りでは、このようなリスクを負って事業者は販売を開始するわけですから、ほとんどの場合、売主事業者側の「履行の着手」とは当該物件の引渡しであると判例が示すゆえんです。
他方、本件では融資を条件として特約されているようですので、希望する金融機関の融資承認が得られなかったという場合でも、当該特約に基づきローン解除の援用も可能かと思われます。金融機関やローン商品の選択は、その後の生活に重大な影響を及ぼすため、当然購入者に帰属するものであり、業者側に選択肢を制限する強制力はありません。
  (民法545条1項及び3項、557条、最高裁判例昭和24.10.4民集3・10・437、宅地建物取引業法47条の2第3項及び同施行規則第16条の12第3項、消費者契約法など)
2007.10.15

〜「第三者のためにする契約」…気付かざる問題点!?〜
Q:
登記の中間省略をする場合、第三者のためにする契約を結んだとして、買主と第三者との契約形態はどうなるのでしょうか?また、宅地建物取引業法に規定される「自己の所有に属さない宅地建物の売買制限(法33条の2)」との関係も教えてください。
登記の中間省略が一定の契約形態により可能となったといっても、前号で説明したように、売買契約の単なる中抜きでは、権利変動を公示する登記制度の趣旨からして中間者の登記を省略することは認められません。
第三者のためにする契約とは、売買契約においては当事者(売主A・買主B)が予め第三者(権利者C)に物の所有権を移転する目的で締結する契約(民法537条)をいいますから、買主Bと権利者Cとの間には民法上の売買契約とは異なった契約形式を採用することも考えられますが、一般的(宅地建物取引業者がBの地位を占める契約)には、BC間においては他人の権利の売買契約を締結し、所有権に関して売主A買主Bで締結した第三者のためにする契約に基づくAからCへの直接の移転をなす旨の特約を付帯させるのが良いでしょう。ただし、ここで問題となるのが、ご指摘の業法33条の2の規定です。これについては宅地建物取引業者自らが売主となる場合に抵触しますので、国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則15条の6)において、当該業者が買主となる場合で、第三者のためにする契約または買主の地位の譲渡に該当する形態を整えているものについては、法33条の2を適用しないこととする改正(同施行規則15条の6第4号追加)を通達したところです(平成19年7月10日国土交通省総合政策局不動産業課長発第19号)。
一方、BC間の契約形態を民法上に規定されていない契約形式(無名契約、非典型契約)とした場合、その部分は宅地建物の取引とはならず、宅地建物取引業者が売主となっても業法の規律を受けないこととなり、消費者保護の観点から種々の問題が生じる恐れがあります。したがって、Cの立場にある者が一般消費者である場合には、その内容と自らの法的地位を充分に理解したうえでの無名契約締結が望ましく、当該業者の法的知識と説明責任が強く求められると考えますので、慎重な判断が必要です。
2007.8.28

〜「登記中間省略における契約類型」…どんな場合にできるの?〜
Q:
以前、質問をさせていただいた大阪府本部会員です。不動産売買において、登記中間省略が再び出来るようになったことは解りましたが、そもそも中間省略は、主に我々業者が転売目的物件の経費節減のために使う手法で、通常は売主の不動産を出来るだけ安く購入し、買主を見つけて利益を上乗せして売却するわけですから、「第三者のためにする契約」とか「買主の地位を譲渡する契約」とか言われましても、それが何を意味しているのかが全く解りません。解りやすく教えてください。
売買とは、あるモノの所有者が「譲渡人」となり、そのモノを欲する相手方が「譲受人」となって相当対価を支払い、モノの所有権を移転せしむる法律行為を言います。
売主Aはモノを譲ることで金銭対価を得ることを目的とし、買主Bはモノの占有・使用・所有を目的とします。しかし、ご質問のケースでの買主Bの目的はモノの占有・使用・所有には無く、転売利益を得ることですから、当該「売買契約」も当事者の目的に沿って締結されるとするならば、買主Bが当該物件を別の誰か(第三者C)に売り渡すことを前提とした契約内容にすべきという考え方になるのは当然です。したがって、転売人Bの所有権を登記せずに第三者Cへ直接所有権登記を移転させる理由(登記原因)を「当該買主Bの譲受目的は第三者Cへの譲渡」とすることで、A−B,B−C間の物権変動(所有権移転)をAからCへの物権変動であると認めるとしたわけです(運用)。
一方、買主の地位の譲渡は、A−Bの売買契約において、同様にBの地位を譲渡することを予め約定し、第三者CがBの地位を譲り受けた場合、当該売買契約はA−C間で締結したものとするものです。いずれの場合も契約内容、登記原因情報共にそのことを明文化し、売主A及び第三者Cの承諾を得て登記を直接移転させることが前提となっています。したがって、よく行われている「転売利益を得る売却行為を売主には伏せたまま」の登記中間省略を容認したものでは無いので、A−B・B−C間においてそれぞれ別個の売買契約が成立する形態とするなら、現行の登記制度上やはりそれぞれに公示(登記)することが求められてしまいますので注意が必要です。
ただし、どちらの契約形態を採った場合でも、予め第三者Cの具体的な指定がなされている必要は無く、A−B間の代金決済後でも、Aに登記を留保したまま(二重譲渡又はAの債権者からの執行手続き等のリスクはあるが)転売先を探すことも出来ますし、Bに登記を移転(移転先をBに指定する意思表示要)することも出来ます。また、Aに対して新たな印鑑証明書等の登記必要書類の提出を請求することも可能です。
2007.7.31

〜建築途中に施主が失踪…工務店の悲劇!〜
Q:
兵庫県で不動産業と建築業を営むものです。先ごろ三田市内で地主さんからアパート建築の請負を頂き、5月には棟上げも終わり、現在内装工事の段階ですが、この度施主と連絡が取れなくなりました。自宅に伺っても、全く人の気配がしません。近所の方に尋ねると、「どこかへ引っ越した(夜逃げ)みたいだ」とのこと。請負代金もまだ50%ほどしかもらっておらず、これ以上工事も進められず、どうすればよいか途方にくれています。良いアドバイスを頂けないでしょうか。
建物建築請負契約や建売住宅の売買に関し、発注者や購入者の権利を保護するための法整備(住宅の品質確保の促進等に関する法律、建築物の安全確保を図るため建築基準法の一部を改正する法律等々)は着々と進んでいます。一方、発注者や購入者の破産、倒産や債務不履行に対する事業者側の対抗策は私法の定めるところによります。
本件の場合、まず、当該建物の所有権者は地主であることに注意して下さい。そのうえで、貴殿の有する債権(請負代金債権)に基づき、地主が未破産の現段階においては、本件建物(被担保債権の対象)について、貴殿に留置権(民法295条)が認められることに異論は無いと考えます(本件債権は当該建物の請負契約から生じた商事債権であるから商事留置権も成立し、建物も完成間近であることから、敷地についても留置権が認められるケースもある:新潟地長岡支判昭和四六年一一月一五日判時六八一号七二頁・商法521条)。
貴殿は、この留置権に基づき本件建物を占有(使用)することができ、地主に占有をもって対抗することができます。留置権は、物上代位性を有しない(債権者に処分権が認められない)担保物権ですが、貴殿が当該建物を利用して得た収益を、代金の弁済に優先充当するこができます。又、判例等の立場は、本件敷地及び当該地主に債権を有する第三者の競売による買受人は、留置権者が有する債権を弁済しなければ明渡しを請求できないとしています。留置権の成立要件は「債権が弁済期にあること」及び「留置権者占有」ですから、貴殿は残工事を請負契約に基づいて完了させ、他の債権者からの異議に対しては内容証明郵便等により留置権の主張をなすことが必要です。
建築請負と留置権の問題については、その敷地に関して未だ論争が絶えません。紛争ケース(注文者の破産、抵当権者の競売申し立て、商事留置権と民事留置権の関係、敷地に対する留置権の効力の問題等)によっては、その裁判例も異なっています。しかるべき手続に関しては、専門家にご相談されることをお勧めします。
2007.7.4

〜「中間省略復活!?」…登記中間省略とは!?認められた手法は?〜
Q:
大阪市内で不動産業を営む貴協会員です。不動産売買において、いわゆる登記中間省略が再び出来るようになるという情報を聞きました。本当ですか?以前から業を営む者にとって当たり前に行なってきた中間省略が出来なくなったり、また出来るようになったり、一体どういう流れで解釈が変わってきたのか、その全貌を教えてください。
法務省民事局民事第二課は、「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申(平成18年12月25日)第III章の11住宅・土地分野(2)登記制度の運用改善」の中で規制改革・民間開放推進会議、住宅・土地ワーキンググループが指摘した「甲乙丙三者が関与する売買契約であっても、第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権移転登記、又は買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権移転登記の可否につき、具体的な登記原因証明情報の明示があればいずれも可能である」という旨の内容につき、同ワーキンググループが照会(平成18年12月21日)したことを受け、「見解のとおり」とする回答を示しました(平成18年12月22日法務省民二第2878号)。これにより、現場における取り扱いについて、誤解や不一致の生ずることがないよう、照会・回答の内容を周知するため、平成19年1月10日付けで各登記所、日本司法書士会連合会、不動産取引関連団体に同内容の通知文書を送付しました。
この通知により、ご質問者の言われる「登記の中間省略」が一定の要件の下、事実上可能(復活?)となったのです。今回は、紙面の都合上、過去に「中間省略登記」が利用されるに至った経緯と法的見解を解説します。
本来、「権利に関する登記」とは、民法177条「不動産に関する物権の得喪・変更は、不動産登記法に従い登記をしなければ第三者に対抗できない」という規定が基礎になっています。つまり、物権の得喪・変更=変動した事実を登記するわけですから、登記原因なるものを必ず記載することが要求されています。このような仕組みから、AB間の売買があり、すぐにBC間の売買が行なわれたからといって、AC間で直接所有権の移転登記をすることは、元々許されてはいなかったのです(AC間には原因が無い)。これは不動産登記法の改正前後、不変の原則です。
しかし、最高裁判例(昭和40年9月)が三者の関与する売買契約において、現名義人と中間者の合意があれば、直接第三取得者に所有権登記の移転をなすことを認めたことや、改正(平成17年3月7日)前の実務においては、登記原因を証する書面を必須とせず、登記申請書の副本における申請を受理していたことなどを理由として、主に登録免許税や登記事務手数料、不動産取得税などの軽減を目的とする「登記中間省略」が頻繁に行なわれてきました。

「復活?」したと言われる中間省略登記の具体的申請の方法と、なぜそれが許されるのか(法務局が受理する理由)を解説します。
中間省略登記は、主に、A−B−Cと順次所有権が移転した物権変動の過程において、なおAに登記が存する場合、A−Cに直接移転登記をなすことを言います。平成16年の不動産登記
法改正により、所有権の移転に関して「登記原因証明情報」の添付が必須となったため、A−B、B−C間の物権変動が明らかにされ、法の規定に従いそれぞれに公示(登記)することが求められることとなりました。これにより、上記のようなA−Cへの直接の所有権移転登記は認められなくなりました。しかし、「第三者のためにする契約」や「買主の地位を譲渡する契約」など、一定の類型の契約により実体上もA−Cと直接所有権が移転した場合には、現行制度の下でも直接の移転登記の申請は有効であることや、不動産の流動化、土地有効利用促進の観点から、現場取引の費用低減ニーズに応える必要もあるとして、登記制度を所管する法務省は一定の類型に該当する各申請があった場合、具体的な「登記原因証明情報」の明示をもとに、いずれも可能であるという見解を示しました。以下、その登記申請における具体的ポイントのみを記しておきますので、十分ご理解のうえご活用下さい。
「第三者のためにする契約・登記原因証明情報」記載例

(1) A−B間売買契約において、「買主(B)の指定する者に所有権を移転する」及び「買主(B)への所有権移転は、B自らを指定する意思表示があった場合とする」旨の特約を付し(所有権留保特約)、原因証明情報に記載する。
(2) 「所有権の移転先をCと指定する」旨の意思表示を原因証明情報に記載する。
(3) B−C間売買契約において「Cは登記名義人Aから直接所有権の移転を受ける意思表示をAに対してした」(受益の意思表示)ことを原因証明情報に記載する。
(4) BからAに対して代金の支払いがあったこと及びAからCへの所有権が移転したことを原因証明情報に記載する。

2007.6.25

〜賃貸借契約の原状回復…賃借人の反逆か!?〜
Q:
店舗を貸しておりましたが、この度30年間借りてもらっていた賃借人より解約の申し出がありました。先日、物件を見に行ったところ、外壁に、看板、クーラーの室外機2台が取り付けられており、厨房内の設備も賃借人の不要な業務用の冷蔵庫、流し台、アイスマシン、なべ、ザル、お椀、、椅子、布団等は置いて行くとの事です。契約書には原状回復の条項が入っておりますが、賃借人の言い分は「もともと借りた時はバーの店舗の居抜きで、カウンターなどがあり、約800万円を掛けて店舗(丼屋)に改装した。その時もバーの什器、設備は置いたままであった。だから自分も同じようにする。」との事です。賃借人のこの言い分は認められるのでしょうか?
賃貸借契約の終了(終了原因の如何を問わず)にともなう賃借人の原状回復義務とは、当該店舗を賃貸人の支配下に戻すという、賃借物の返還義務を言います(民法545条)。これは不動産の場合、一般的に明渡しと言われる行為で、巷で問題になっている「貸したときの状態にするため、部屋の中をリフォームして返す」というような意味ではありません。したがって、本件ご質問にある賃借人の所有物(冷蔵庫や什器備品など)をどちらが処分しなければならないかという問題と、原状回復との問題は全く別の次元だということを、まず認識してください。
そのうえで本件賃借人の行為は、通常の明渡しに際して、社会通念上行うべき自己所有動産の撤去処分(いわゆる後片づけや掃除というレベル)をせずに明渡そうとするものですから、貴殿はその処分を当然請求することが出来ます。また、賃借人がそのまま放置することを希望するのであれば、その処分費用を賃借人に請求(支払いを拒むときは、預かり敷金から相殺することを請求)出来るでしょう。ただし、その際には賃借人より残置物の放棄及び処分を依頼する内容の書面を取っておくこと、また処分費用を敷金から相殺することの承諾を得ておくことが必要です。
その他、本件賃借人の言い分から察すると、賃借人が契約当初から現在に至るまで、賃貸人の承諾を得て付加した造作で、当該店舗の経済的価値を高める部分(トイレや流し台設備、定着しているカウンターや電気、ガスの配線配管設備など)については、撤去処分どころか造作買取請求の対象として、時価で買い取るよう貴殿に請求してくることも覚悟しなければなりません。たとえ契約書に「造作買取請求権を放棄する」特約がされていたとしても、30年前の契約であれば旧借家法5条(強行法規)が適用され、当該特約は無効となりますので念のため申し添えます。
2007.6.2

〜賃貸借契約の中途解約違約金…そんなのあり?〜
Q:
来月頭に賃貸で借りた部屋を退去し実家に戻ることになりました。今の部屋は昨年12月に入居したばかりですので4ヶ月での退去になります。契約条件は敷金1ヶ月・礼金1.5ヶ月です。契約書には1年未満の解約時に賃料1ヶ月分の違約金を支払うとの事項がありました。敷金・礼金ゼロの物件であれば、違約金を支払うという項目があるのは頷けるのですが、礼金も敷金もちゃんと支払っていて違約金を支払うのは納得できません。法令上では、支払わなくてはならないのでしょうか?
当該契約が例えば2年間の期間を定めた賃貸借であるとするなら、家主は2年の期間、一応家賃を受け取ることの出来る権利を得ることになります(期待利益)。一方貴殿はその期間居住する権利と引き換えに、賃料支払い債務を負うことになります。したがって、本件特約の目的を推察してみると、契約期間を定めた賃貸借の場合、期間途中で契約を終了させるとすると少なからず当事者の一方に損害を与えることになることから、当該特約には根拠があるということでしょうか。

一方、当該契約には恐らく「契約期間中貸主・借主は契約の解除をなすことが出来る…」という中途解約に関する特約(解約権留保)が盛り込まれていると思います。この特約は、ごく一般的に利用されているもので、定期借家契約で特殊なものを除き、当事者の自由を制限しないためのものですが、貸主の解約権行使には正当事由が必要とされ、借主の権利がより強く保護されています。本件の場合もその特約に基づき正当な権利として中途解約をなされたものと推測いたしますが、特約条項に解約予告期間の定め(例えば、借主は契約終了の○ヶ月前までに貸主に対して通知しなければならない…)があれば、予告期間分の賃料が解約に際して家主の逸失利益に対する損害金又は中途解約に関する違約金とみることが出来る場合もあります。しかし、その期間が1ヶ月程度で、それ以外に1ヶ月分の家賃相当の違約金を中途解約時に科すという特約が、著しく借主に不利で、当該契約の解約に際して家主が被る平均的損害(逸失利益)を超えているといえるかどうかを考えねばなりません(民法617条では期間の定めの無い契約を終了させる場合、解約の申し入れから3ヶ月で契約は消滅すると規定しています。同条準用618条・解約権の留保及び消費者契約法9条1項・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効を参照)。

したがって、解約権が留保されている契約の場合は、貴殿が4ヶ月で契約を解約されても契約違反ではありません。しかし、前述した家主の期待利益を損なうことは事実であり、経済的均衡を考慮すると一定の違約損害金を規定することもまた違法な契約とはいえないのです(民法420条)。

参考:本来、契約の内容は当事者の合意によって自由に取り決めることができるのが原則ですが、借地借家法では一定の事項について「契約自由の原則」を排除しています(借家の場合は、同法30条が、更新拒絶や解約申し入れの要件を定めた26条から28条、期間を定めた29条、その他37条で、借家の対抗力を定めた31条、転借人保護規定の34条、借地上の借家人保護規定の35条に関する特約で賃借人に不利な特約は無効としています)。しかし、当該違約金支払い特約の有効性については借地借家法の規定には触れられておらず、そのことを定めた本件特約を借地借家法に基づき無効とはいえませんので、念のため申し添えます。

解決!ビビット

2007.3.30

〜「引き渡し前の解除」…違約金の請求は可能か!?〜
Q:
昨年10月に建売住宅を更地の段階で契約しました。契約時、住建会社、不動産会社より重要説明事項の説明をうけましたが、その時点で隣地境界に設置してあるよう壁の越境、隣地の住宅(4軒長屋)の汚水口、汚水管がこちらの敷地に埋設されていることの説明は受けませんでした。結局それらは解決されず60cm×14mも私共が土地を提供する形になり、全く納得いく話ではありませんでした。その他にも外壁に使っているサイディングが欠けており交換することなくそのまま塗装されている、外構の図面の提出を再三求めているにもかかわらず最後まで無し、その他数点についても契約時の打ち合わせと違うことがありました。相手方は引き渡しまでにすべて対処すると言っていましたが、信用出来ず、契約継続を断念しました。回答は違約解約には応じることができない。白紙解約(合意解約)には応じる。手付金のみ返金する、とのことでした。年内に購入の手続きを終え新年には新たな場所でスタートできると思っておりましたのに全く納得のいかない回答でした。ローン契約も整いそれに伴う費用もかかっております。この場合違約解約にはならないのでしょうか?
まず、本件契約の目的不動産が売り建て形態(青田売り)の土地付住宅であることから、土地建物の引き渡し時の状態を予め契約の段階において説明されておられると思いますが、建物が完成し土地と共に引き渡しを受ける時まで、契約が約束どおり履行されるものか不安な状態が続きます。

しかし、このような取引形態の場合、土地建物を引き渡すまでの間に発覚した新たな事実(隣地境界の越境及び有効宅地の減歩、建物の損傷や図面の提示)も含め、当初の約定に則って貴殿に引き渡す義務を売主は負っているのであって、買主は売主に対し義務の履行を催告し、売主は問題箇所の修復と減歩における金銭対価を売買代金より減額するなど、相当の措置を講じて貴殿に引き渡しをすることが必要になります(反対に貴殿は問題箇所における実質的損害を売主に請求することができます)。したがって本件の場合、当該義務の履行がされないと判明した時に初めて「債務不履行」の状態になると考えますので、貴殿の場合、相手方が改善を申し出ているにも係わらず現在の状態で契約を解除するのであれば、債務不履行を理由に違約損害金の請求をすることは出来ないと思慮します。つまり、本件契約条項の違約とは、売主が負うべき債務を履行できないとして売主が契約を解除しようとする場合に、売主が違約金を負担しなければならないのであって、履行期の到来していない(引き渡しを受けていない)状態では債務不履行を理由に解除をすることは出来ず、違約金の請求も出来ないということです。(民法541・545条)

2007.2.15

〜「ここも、あそこも直してよ!」…借家人の印籠!民法601条〜
Q:
このたび、不動産業者の仲介で中古の一戸建てに賃貸で入居しました。引越してから気づいたことですが、お風呂の換気乾燥機の乾燥機能が作動せず、網戸が破れていたり、雨戸が不具合だったりと、あちこちに修理が必要でした。しかし、家主や不動産業者は、現状で引き渡しているもので、新築ではないし、使える部分だけ使って、修理をしたければ自分で直せ、との態度です。これからも不具合が出てきたらと不安です。
賃貸借における修繕義務の区分には、3つのパターンが考えられます。一つ目は契約の時点で発見された不具合の修理。二つ目は契約期間中に出てきた不具合。三つ目は契約の終了後(現状回復)に際しての修理修繕です。

さて、本件の場合は入居してから分かった不具合ということですから、契約期間中の修繕に関する部分と、最初から故障していたと思われる箇所が有りそうですから契約時点での問題との両面で検討することにします。

まず、賃貸人(家主)が目的物(本件では居住用建物)を賃貸する場合、居住に適した状態で目的物を引き渡す義務を負います(民法601条)。本件のような設備に関しては、やはり契約時点での取り決めが焦点となります。つまり、契約内容に設備の有無、その状態が説明されており、当事者が合意のうえで締結した内容についてはそれに従います。しかし、単に設備有りの説明だけで引渡し時の状態が不明若しくは最初から作動不良のような場合は、借主として使用できるものと信じて契約したことに過失はなく、使える状態に修理するよう請求することができます。途中で故障した場合も同様に考えますので、家主は特に機械設備についての修補責任の取り決めを、契約時点でされることをお勧めします(例・本物件に付帯する換気乾燥機については、引越し後○ケ月以内に故障した時は賃貸人が修理するものとし、それ以後の故障については賃借人の負担とする特約)。

また、契約時点では見落としていた破損箇所など入居してから気づくというケースはよくあることですが、現地確認の際、一般的に見つけられるような部分はいわゆる「瑕疵」には当たらず、入居後に修理を依頼しても家主の側から「現状で」と言われることが多々あります。このような場合も契約時点での状態の説明が重要ですが、軽微な補修箇所の場合は「居住に適さない状態」とまでは言えず、現状の範囲に含まれると考えますので「あれもこれも」とはいかないかもしれません。仲介業者も賃貸借のような継続的契約においては、契約終了後もなお仲介の責任を問われることがよくありますので、斡旋する物件の現状把握と当事者の合意を書面で得るよう調査と説明が必要で、その義務を怠っては不測の債務不履行責任を負わされることに注意が必要です。

2006.12.15

〜隣家から被った損害に対する家主からの保障は?〜
Q:
賃貸アパート借主のものですが、先日賃貸アパート敷地内に隣接する空き家の隣家が老朽のため倒壊し、その家屋が借主である私の自家用車の上に落下し、損害を被りました。その後、倒壊した家屋の家主が、登記上不明で持ち主が分かりません。この場合、自家用車の修理費用は賃貸主である大家に全額請求をしてもよろしいのでしょうか?(尚、倒壊直後に大家の方には口頭で修理費を出していただく了解を得ていたのですが、修理後の請求書を渡した後全額は払えないとの答えでした。)
ご質問者の不運にはお見舞い申し上げます。

さて、貴殿が被った損害(自動車の破損)は一体誰の責任なのでしょう。本件のような場合、老朽化した家屋を危険な状態で放置していた倒壊家屋の所有者に責任があるということは疑いのないところです。しかし、当該家屋の所有者が不明であるため、駐車場の所有者である家主に対して破損自動車の修理費用を請求できるかというご質問の答としては、「甚だ無理がある」といわざるを得ません。

損害賠償の制度は(1)損害賠償の認定(2)損害の類型(3)賠償の方法という諸点を関係付けなければなりません。本件の場合は(1)隣家倒壊による自家用車(貴殿の財産)の破損は、倒壊の恐れがある家屋を放置した隣家所有者の不法行為により、(2)貴殿の財産に与えた損害と隣家所有者の放置行為には因果関係が認められ、(3)原状回復に必要な自動車の修理費用及び、付帯費用(修理期間中の交通費など)が金銭によって賠償されます。やはり、本件の相手方は当該家屋の所有者であり、アパートの家主には賠償を請求する根拠がありません。ただし、貴殿と家主との間において本件駐車場の使用につき、予め隣家家屋が倒壊したときの賠償や自然災害などの不可効力について賃借人の損害担保特約などが存在すれば、契約として金銭の補填を受けることは可能です。しかし、一般的には駐車場内の事故については賃貸人は責任を負わない旨の免責特約が主流であり、このような取り決めは稀であるといえます。

したがって、アパートの家主が修理費用の一部でも補填してくれる(恐らく見舞金という趣旨)というのは貴殿にとってはありがたいことですから、あまり無茶を言わないほうが得策であると考えます。

なお、民法606条は賃貸人の修繕義務について規定していますが、これはあくまで賃貸借の目的物(当該アパート又は付属物としての敷地内駐車場)に関し、修繕が必要な事態が発生した時の規定ですから、本件について類推して適用はできません。

2006.12.15

〜「重要な事項の不告知」・・・伝家の宝刀・錯誤無効?〜
Q:
先月、マイホーム建設のために不動産会社の仲介で土地を購入し手付金200万円を売主に支払いました。
早速ハウスメーカーに設計の依頼したところ、購入した土地の前の道路は「建築基準法42条1項5号(位置指定)道路」で、その土地の一部が自動車の転回広場に当たっていることがわかりました。私はこのことの説明を受けていませんでしたし、現地では確認出来ませんでした。結局土地の前面部分、約20m
2が使えないことが分かり、予定していた建物が建ちません。自分に有利に進めるにはどうすればよいでしょうか。
不動産の取引上、このような問題はしばしば起こり得ることです。契約の当事者として最も有利な方法を選択したいところですが、実は処理の仕方によっては法的に解釈の分かれる興味深い問題なのです。このような場合、まず貴殿がどうしたいか、によって方法を探ります。
貴殿がこの土地を気に入っておられ、建物が少々いびつになっても我慢できるのあれば、売主の担保責任(民法566条・用益的権利による制限)の範囲で、買主が被った経済的損失(転回広場部分の対価減額と不完全な目的物の履行による評価損失〉額を損害賠償として請求できます。

一方、貴殿が契約を解除する場合、本件土地の取得は住宅建設が目的であり土地の減少は致命的であるという客観的理由を示し、民法95条「要素の錯誤」が買主にあったとして契約の無効を主張します(ただし、判例は契約の錯誤無効に担保責任は認められないとしていますから、併せて売主に損害賠償を請求することは難しいでしょう)。この場合は仲介会社に業者としての債務不履行があるとして損害(買主の実質的損失や慰謝料)賠償を求めます。

また、本件のようなケースでも契約違反を主張して契約解除及び違約金の請求を求める事例をよく見受けますが、売主に悪意が無く、仲介業者の調査ミスや告知違反などの過失が明らかな場合、売主からは残代金の支払いを含め契約の履行を催告(時には売主から違約を主張)されることも考えられますので、論点を整理して対処することが大切です。
なお、錯誤と担保責任の関係は、権利関係を早期に整理するという趣旨から、特約である担保責任を優先させ、一般規定である錯誤による無効の主張を認めないとしています。
2006.11.15

〜「インターネット広告の情報メンテナンス」…ほったらかしはおとり広告?〜
Q:
弊社は奈良市で賃貸仲介を専門とする不動産会社です。最近は物件広告の90%をインターネット媒体に依存していますが、データメンテナンスに社内規定を設けており、1ケ月に1度、すべての物件情報をクリーニングしています。しかし、ある広告サイトが1週間という短い期間で情報精査を要求してきました。弊社では常時2,000物件ほどの登録があるため今までどおり、月に一度ぐらいの一括処理を行いたいのですが、公取規約に反するおそれがあると言われました。
その根拠になる公取規約の内容を教えてください。
固定式の看板広告やインターネットによる物件情報広告など、長期間にわたって継続表示が可能な媒体は一過性の媒体に比べ、費用対効果が優れているため有効な広告手段として利用されています。しかし、長期間、物件情報のメンテナンスを怠ると、条件変更や成約済み等の修正に対応できず、ユーザーの不信感を引き起こす原因となります。

特にインターネット広告では、情報の即時性、新鮮さが求められていますので、速やかにデータ修正、成約登録などの処理が必要です。
そこで、不動産公正取引協議会連合会では「不動産の表示に関する公正競争規約(平成17年11月10日公正取引委員会告示第23号)」第24条において「表示の修正・取りやめ及び取引の変更等の公示」の規定を設け、これに違反したとみなされる場合は、同規約第21条の「おとり広告」(21条2号・物件は存在するが実際に取引の対象となり得ない物件の表示)にあたるとして、警告または50万円以下の違約金を課すことにしています。更にこの警告に従わないときは、500万円以下の違約金を課し、協議会会員資格の停止または、除名並びに公正取引委員会への告発と、非常に重大な違反として取り扱いますので特に注意が必要です。

インターネット広告を取り扱う不動産物件情報サイトの運営会社では、最近のユーザー反響を受けて、情報掲載に関する規定を厳しくするところが増えてきているようです。有名なところではYahoo不動産が先物(業物)掲載は不可としたり、不動産ポータルサイトのHOME’sが物件掲載期間を30日から7日に変更するなどの動きが見られます。賃貸居住用の物件広告については概して成約速度が速く、データの陳腐化が起こりやすいことから、一般ユーザーの信頼を得るためにもデータメンテナンスは迅速に対応し、不要なトラブルを避けていただきたいと思っています。
2006.10.15

〜「土地上の構造物の賃貸借」…借地か借家か・その法律関係は?〜
Q:
所有している100坪の遊休地に簡易なテント張りの倉庫を構築して賃貸したいと思っていますが、土地を貸すのではありません。
しかし、テント倉庫を使用するためには当然空き地部分の使用も必要になる(駐車スペースや侵入のため)ので、この場合の契約の方法を教えてください。
ご質問の意図は、簡易構造物(法律上建物か否か)の賃貸借契約を結んだ時に、周りの空き地部分の土地もその対象とされ、土地の賃貸借契約としての効力を生じるのか、また、簡易テント倉庫が建物賃貸借とみなされるのか、その法律関係がわからないので、契約の目的と方法及び内容を整理して解説してほしい、ということですね。紙面の都合上、以下に要点をまとめて記載しますのでご参考ください。
(1) 簡易テント張り倉庫は「建物」か?
法律上も判例も土地に定着性のない構築物は建物と認めず、いわゆる「借家」の対象にはならないとしています。したがって本件テント倉庫の賃貸借は借地借家法の適用は受けず、民法上の賃貸借の規定(民法601条以下)が適用されます。
(2) 本件は土地賃貸借に該当するか?
テント倉庫の賃貸借に伴って利用せざるを得ない空き地部分の法律関係は、主たる目的に付随する使用貸借または包括的利用権として、合理的な範囲において認められると解されていますので、借地のように物権的権利(地上権その他用益物権による利用権)を有する契約形態を採る必要はありません。
(3) 本件賃貸借契約の方法とその内容は?
本件の場合は、契約の目的を当該土地上に構築した貸主所有の簡易テント張り倉庫の賃貸借契約とし、空き地部分の使用方法及び禁止事項等については当事者が合意した取り決めを約定し、契約期間、期間途中の契約の解除に関する事項、賃料、敷金等の内容を約定します。また、本件では借地借家法の適用はありませんので、契約期間満了時において契約を修了させるにあたり貸主の正当事由は必要なく、民法617条以下の規定をもとに目的物の明け渡しについての取り決めをなされておけば、賃
借人が空き地を約定範囲外に使用したり、契約の修了時に明け渡しを拒んだりしても貴殿の不利にはならないでしょう。
2006.9.15

〜「耐震診断の調査・報告」・・・続・重要事項説明はどうする?〜
Q:
法改正後の重要事項説明について、もう一つの問題である「耐震診断の内容」についても併せて解説いただきたく、お願い致します。
まず、宅地建物取引業法第35条第1項第12号に規定する「国土交通省令に定める事項」として宅地建物取引業法施行規則第16条の4の2第3号に、(昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものを除く)すべて(用途の別を問わず)の建物について、売買又は交換及び売買又は賃借の媒介の契約に際し、法35条の説明義務を負う業者が、建築物の耐震改修の促進に関する法律第4条第2項第3号の技術上の指針となるべき事項に基づいて指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が行った耐震診断を行った記録が残っているかどうかを、石綿(アスベスト)の問題と同じく、売主及び所有者に、又区分所有建物の場合は管理組合、管理会社及び施工会社にも確認します。
1. 耐震診断無しの場合:売主(所有者、区分所有建物の場合は管理組合及び管理会社・施工会社)に耐震診断の有無を確認した結果、当該診断の事実は無し(又は不明)とのことでした。したがって、専門機関による診断をご希望であれば、買主(借主)様の負担においてご依頼いただくことになります。
2. 耐震診断有りの場合:下記(1)〜(5)の書面による記録を添付資料として提示説明してください。
(1) 住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価書(構造躯体の倒壊防止に対する耐震等級に係る評価を受けているものに限る)
(2) 地方税法施行規則第7条の6の2第2項に規定する書類(耐震基準適合証明書もしくは(1)の性能評価書)
(3) 租税特別措置法施行規則第18条の4第2項、同条の21第1項、第23条の6第3項第2号に規定する書類(耐震基準適合証明書もしくは(1)の性能評価書)
(4) 指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関又は地方公共団体が行った耐震診断結果評価書
(5) 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第120号)の施行前に行った耐震診断について、改正前の同法第3条(特定建築物の耐震診断及び耐震改修の指針・平成7年建設省告示第2089号)に基づいた耐震診断であり、その実施主体が上記(4)に揚げる者が行った耐震診断結果評価書

2006.8.15

〜「石綿(アスベスト)問題の対応」・・重要事項説明はどうする?〜
Q:
はじめまして、昨今問題となっております石綿・アスベスト問題ですが、法改正後の重要事項説明についてわかりやすく解説いただけないでしょうか。
ご質問の件については、種々の解説書や記事が出ております。しかし、ほとんどの解説が改正趣旨と最低限の説明範囲を示すにとどまっておりますので、実際の現場でお客様から突っ込まれないような説明致します。
今回の改正宅地建物取引業法施行規則第16条の4の2のポイントは、すべての建物について、売買又は交換及び売買又は賃借の媒介の契約に際し、法35条の説明義務を負う業者が、まず当該建物に石綿(アスベスト)が使用されているか否かを調査した記録が残っているかどうかを売主及び所有者に、又区分所有建物の場合は管理組合、管理会社及び施行会社にも確認します。
(1) 調査記録無しの場合:上記の調査結果、調査の事実は不明とのことでした。したがって、当該建物については石綿(アスベスト)含有建材等が使用されている可能性はあります。専門業者による調査をご希望であれば、買主(借主)様の負担においてご依頼いただくことになります。
(2) 調査記録有りの場合:書面による記録が存在し、係る内容が容易に確認できる記録が残っておれば、その書類を添付資料として提示説明してください。それ以外は、調査の実施機関名・調査範囲(一部分の場合はその旨特に明記)・調査の年月日(後に増改築等があればその部分についての調査記録の有無)・石綿(アスベスト)使用箇所、含有建材等の有無の4項目について説明します。そのうち一つでも不明な項目があれば、売主(所有者)等に補足の報告を求め、その事実を説明します。
最後に、いずれの場合であっても当該説明を売主(所有者及び関係機関含む)側からの提出資料等に基づき調査を行った場合は、その調査記録は売主等の責任下において為されたものであることを付け加えておくと後日の紛争防止に繋がると考えます(国土交通省総動発第82号平成18年3月17日参照)。
2006.7.15

〜「代理人の権限」…妻の行為はどこまで有効?〜
Q:
先日、京都市内のマンションを売却しました。その際に私が仕事だったので契約を妻に代わりに行ってもらいましたが、仲介不動産会社の手数料を私にはマケルと言っていたのに、結局マケテもらえませんでした。営業マンは、「奥様にお話ししたところ、正規でお支払いします。」と言ったから…と。売主は私で、妻は単なる契約の代理人にしか過ぎないと思うのですが、金額や手数料を交渉する相手を間違ってはいませんか?ちなみに、妻には「契約締結に関する一切の権限」と書いた委任状を持たせました。
「契約締結に関する一切の権限」のなかに、代金や手数料の交渉、決定をする権限をも含むかどうかという視点からこのご質問を判断すると、いささか貴殿の側に不利となりそうです。まず、代理権の授与及び内容に関して、本件では「委任状」を交付していること及びその文言に「一切の権限」とあること、更に貴殿と代理人の関係が夫婦であることも、相手方にとっては手数料の額の決定に関しては、奥様に権限があると信じたことに過失があったとは認めにくいと考えます。貴殿としては、契約締結の権限とは、契約書にご主人の代わりに署名捺印(本来代理人の署名をすべき)したり、書類や手付金を受け取ったりするだけの委任と考えたいところでしょうが、やはり本件委任状の文言からは、契約に関して包括的に委任をしたととらえても仕方ないでしょう。したがって、本件代理行為を無権代理行為(民法113条)というには無理があり、金額交渉の権限を与えていないと主張しても、表見代理(同110条・権限ゆ越による表見代理)は成立すると考えます。委任状は一般的に代理権を付与した証明として扱われますので、付与する代理権(内容)には注意が必要です。また、夫婦間の相手方が行った法律行為について、日常の家事による債務の連帯責任を定めた民法761条は、広く表見代理の成立を擁護するものではありませんが、法律行為の相手方が善意無過失で正当な理由がある場合、表見代理の成立として類推して適用される(最高裁判例昭和44.12.18百選33事件)ので、大切な事柄を夫婦間で委任する場合など、内容については特によく話し合い、取り決めておく必要がありますね。
2006.6.15

〜「規定報酬以外の報酬受領は可能か?」〜
Q:
このたび神戸市内で不動産を売却いたしました。その際、正規の売買代金(2000万円)とは別に税金対策として300万円を領収書無しで受け取りました(本来の不動産の相場は3000万円ぐらい)その時仲介業者に手数料として69万3千円、業務委託費として9万4500円、コンサルティング費として22万500円を支払いましたが、よく考えてみると取られすぎではないかと。費用の支払い約定書なる書類には「異議を述べない」となっており、サインしてしまいましたが返してほしいのです。弁護士は返してもらえると言っていますがどうでしょうか。
宅地建物取引業者はその業務に係る報酬額の制度について、昭和45年10月23日建設省(国土交通省)告示1552の第七で、同告示に定める第一から第六迄の規定による報酬(一般的には400万円を超える売買価格に対し、3%+6万円と説明されている)以外の報酬受領を禁止されており、それに係る消費税又は特別に依頼された広告に対する料金以外は受領してはならないことになっています(宅地建物取引業法46条1項)

本件の場合、当該取引の特殊事情がうかがわれ、本来受け取ることの出来る報酬との差額を、前期告示違反に問われぬよう分離請求したものと推察できます。しかし、受領名目の如何に係わらず、宅地建物取引業者は当該取引に関連する業務の報酬としては前述した告示規定以外の報酬を請求受領することは厳格に禁止されており、当該業者にもそれなりの言い分はあろうかと思いますが、本件の場合は返還に応じなければ重大な業法違反に問われると考えます。

一方、依頼者の特別の事情により依頼された業務のうち、支出を要する特別の費用に相当する金銭で、事前に依頼者の承諾を得ている費用についてまで禁止されているものではないと考えることも可能(平成13年1月6日国土交通省総動発第3号)ですが、本件の場合、業者は取引の成立に至る諸条件の変更等により予め報酬の減額が予測されたこと、及び別名目の報酬についても当該契約との因果関係が明確であり仲介行為に包括される業務であって、特別の費用が発生したとは言いがたいことから、別名目報酬は認められないと考えるべきでしょう。ただし、本件ご質問とは別に貴殿らが行った税金対策とは、明らかに脱税行為であり、貴殿は当然所得税法違反、業者も所得税法違反ほう助として罰せられることをご承知おきください。

2006.5.15

〜「広告規約・大改正」…必ずチェックを?〜
Q:
京都市内で仲介業を営む事業者です。昨年、私たち全日本不動産協会会員が所属する不動産公正取引協議会(公取協)において、不動産の広告に関する表示規約が大幅に改正されたとありましたが、弊社では最近インターネットによる物件広告を多用していますので、特にそのあたりでの注意点を具体的に解説頂けませんでしょうか。
「不動産公正取引協議会連合会」は、消費者ニーズの変化や多様化等に伴う不動産取引市場の変化等に対応し、「不動産の表示規約」(以下表示規約という)を見直し、(1)事業者の理解と検索・引用がしやすいような構成、(2)過剰な規制の整理、(3)新たな問題に対応する規定の追加・整備、(4)公正で効率的な措置手続きの整備等の変更を行い平成17年11月9日付けで公正取引委員会の認定を受け、平成18年1月4日から施行しました。

変更点の詳細は紙面の都合上、変更後の規約並びに各府県本部から配布された小冊子「不動産の公正競争規約」をご熟読ください。
その上で今回の改正のうち、ご質問のインターネット広告についてのポイントを解説いたします。

表示規約第4章・「必要な表示事項」について施行規則第2章第3節第5条においてインターネット広告における必要な表示事項について別に規定しました。
それによればインターネットの分野では、今後も技術の進展が見込まれることや双方向性を有するなど、紙媒体と異なる性格をもっていることなどを考慮して、紙媒体による広告表示とは別に第5条に独立させて、別表11にまとめました。また、よく事業者の方から「インターネット広告と他の媒体による広告の違い」を聞かされますが、広告開始時期の制限、表示基準、不当表示の禁止等をはじめとする規約の規定は他の媒体(新聞広告、チラシ広告等)と同様に適用されます。

ただし、必要な表示事項のうち、紙媒体では「取引条件の有効期限」を表示しますが、インターネットの場合は、その特性を考慮して「情報登録日又は直前の更新日及び次回の更新予定日」を表示することになっています。なお、広告スペース等の関係で必要な表示事項をすべて記載できない場合に、ホームページのアドレスを記載し、ホームページで必要表示事項を充たした物件概要を見て貰うようにしても、必要表示事項の規定を充たしているとは認められず、当該規定に違反するものとして取り扱われますので特に注意が必要です。

2006.4.15

〜「賃貸借契約成立後の解除」…解除か?解約か?〜
Q:
このたび息子が神戸市内の大学に合格いたしました。そこで急ぎ下宿先を探さねばならず、大学近くのワンルームマンションを不動産屋さんの斡旋で契約いたしました。2月の終わりに必要経費をすべて振り込み、契約書も必要書類をそろえて届け、部屋の鍵をもらいました。3月初旬に引越しをしたところ、内覧時に気づかなかった不具合や約束のクリーニングが不良で不動産会社や家主の対応も最悪。結局この部屋には住みたくないので契約を白紙に戻したいのですが「契約はすでに成立しており、契約書どおりの解約扱いとなります」と言われました。白紙解約には出来ないでしょうか?
ご質問の内容から察するに、本件賃貸借契約は一応成立しているとしてお答えいたします。賃貸借契約の目的物に通常予見し得ない不具合や瑕疵があり生活上修復を要するような場合は、当然に家主の責任においてその修補をしなければなりません。もし、家主の対応が悪く、中々らちが明かないような時は賃借人の側でその修補を為し、掛かった費用を必要経費として請求又は家主が払わないことも予想できますので賃料債務と相殺すれば解決いたします。

(民法606条・608条・505条) しかし、「このような気分を害する物件には住みたくない、白紙解除したい」とご相談にこられる入居者の方々が非常に多いのです。にわか知識を盾に「要素の錯誤」だ、「信頼関係の破綻」だと騒ぎ、仲介会社の重要事項説明の不備や契約誘引の営業トークに「詐欺だ、脅迫だ、損害賠償だ!」と迫る消費者もおられます。あえて言わせていただくと、とりわけ賃貸専科の業態をお持ちの業者さんには「完璧」と胸を張れる仕事をされていない諸氏も結構おられ、渋々消費者の言いなりにならざるを得ない残念な結果に…。ここは自社の業務内容をしっかりチェックいただき、足元を見られることのないようご注意を。

この手のトラブルの処方箋は言うまでも無く「契約内容、物件細部の確認及び説明、報告と万一の際の誠実な対応」に尽きます。しかし、すこぶる理不尽な消費者に対抗するための重要事項説明時における契約解除に関する説明の補足を伝授いたします。 賃貸借のような継続的契約関係を遡及的に無効(解除・民法545条1項)とすることはできません(民法602条)。また解約原因として一方に債務不履行があった場合でも、当事者間の信頼関係を破綻させるような背信的債務不履行があった場合のみ、将来に向かって契約の無効「解約」を主張することが出来ます(賃貸借契約の解約=不遡及的無効)。(民法612条、借地借家法26条・27条)
2006.3.15

〜賃貸マンションの設備修繕義務…修理するのはどっち?〜
Q:
大阪市内で賃貸マンションを借りています。入居して3ヶ月が過ぎた頃、トイレの水が止まらなくなりました。直してほしいと不動産会社に電話したところ、「居住中の小修理は入居者が直すもの。自分で手配してくれと家主が言っている」と。弁護士さんに聞くと「生活上必要な設備の修理は必要費として、家主に請求できる」と言われました。修理したけど払ってもらえますか。
ご質問の回答をズバッとお答えするには契約の内容及び使用の状態が不明ですから少々乱暴といわざるをえません。この手のトラブルは双方の事情や契約内容を勘案したうえで客観的判断を下すためのチェックフローを参考に、ご自分の場合を当てはめてお考えください。

(1)賃貸借契約書に小規模修繕の特約があり、そこに水道修理の負担区分が示されている。まずは契約書を確認。水道設備の修理(パッキンや現状ついているカラン等の経年変化による修繕区分)が賃借人負担になっていれば、契約時の現状での引き渡しに合意したのであるからその後の修理は貴殿がすべきとなる。(東京都賃貸住宅紛争防止条例参照)

(2)賃料の額を通常の相場を著しく逸脱して低額に抑えてもらった。賃料交渉が貴殿の有利に成立。経済的利益の均衝を考え、何でもかんでも家主に請求という論理が通らないこともある。この場合は費用を一部負担してもらうなどの交渉を。また反対(賃料が相場より高額)の場合も同様の解釈が可能と考えます。

(3)分譲貸しマンション等以外で賃料以外に相当の共益費・管理費を別に支払っている。
賃料以外に共益費等を相当額支払っており、その目的が曖昧で物件の維持管理に包括されているような場合は、その費用を修繕に当てるべき主張に根拠があると考えてもよいでしょう。

(4)漏水原因が水道管自体の腐食による。又はパッキン、カラン等の消耗部位による。


(1)〜(3)までのチェックフローに該当しない場合、漏水の原因箇所、経過年数に係わらず民法601条、606条により家主が負担しなければならないと考えます。家主が支払いを拒否する場合は、賃料との相殺を主張できます。

「天の声」…家主さんは契約書を甘く考えず、負担区分を明確(ただし、賃借人に著しく不利な特約は無効)にし、契約時に賃借人に対し、しっかり説明を。また賃借人は少々の修理はご自分でトライしてみては。住まいの愛着が持てますよ!

2006.2.15

〜構造計算書偽造事件…あなたはどうする?〜
Q:
大阪市内で建売を業としている会員業者ですが、このたび「構造計算書偽造事件」を受けて不安が募っています。というのもぶっちゃけた話、建売をしているといっても建築のことは素人に毛の生えた程度の知識しかなく、ほとんどが提携先の工務店に頼っているのが現状です。ですから、もし顧客から販売した住宅の構造や躯体について突っ込まれ、何らかの不備が発見された場合、責任を取らなければならなくなるのではと思うと不安でなりません。
どういう対応をとればよいのでしょうか。
ご質問者のような業態をお持ちの会員様は、当協会でもかなりおられると思います。また保証協会においてもご質問のケースのようなトラブルが発生した時に、どの程度の弁済案件が出てくるのか、その対応策に今から頭を悩ませています。さて、ご質問の要点は貴殿の側に書類等の偽造や悪意の手抜き工事が無かったとしても、事業主の知らないところで施工者の手抜きがあった場合はどうかということですね。結論から申し上げると、お察しのとおり顧客の側からすれば問題の原因と責任の所在には関係なく、貴殿の売主という地位に対して損害の賠償を請求することになりますし、その責任を施行者に転嫁することはできません。今回の事件は構造設計書を偽造した、かの「姉歯建築士」と施工者・「木村建設」、事業主の「ヒューザー」それぞれが罪のなすり合いをしているようですが、マンションを購入した顧客の側は迷うことなく事業主の「ヒューザー」に対し係る損害の賠償を請求することになります。施工者に対する不法行為責任の追及は事業主と施工者・設計者間で勝手にやってくれ、ということです。その他民法上の損害賠償とは別に、不動産の売主としての責任、つまり宅地建物取引業法の規定(31条・35条)に違反したことはもちろん、刑法上の規定(246条・詐欺罪)にも抵触する恐れも出てきます。ここはジタバタせず、真摯な姿勢で顧客の調査依頼に応じ、万一瑕疵が発見された場合は速やかに補修に応じるなどの対応を心がけてください。
なお、建築を業態にお持ちの会員諸氏は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(平成12年政令第64号)に基づく住宅性能表示制度を設計段階から取り入れる等、今後は企業責任を明確にする努力は必須と考えます。
2006.1.15

〜構造計算書偽造事件…我が家は?〜
Q:
ニュースで連日報道されている「構造計算書偽造事件」に不安を感じています。というのも3年ほど前に木造3階建ての住宅を建売で購入したのですが、その際にも「構造計算書」なる書類を見せてもらいました。 かなり分厚い書類でしたし、詳しい説明は仲介業者、売主不動産業者からまもなく、確か「計算どおりに建てていますので地震にも安全です」と言われました。どこをどう見て何と比較すれば計算どおりと確認できるのでしょうか。 素人に理解できるよう教えていただけないでしょうか。
今、「構造計算書偽造事件」が巷を騒がせている「構造計算」とは建築物を設計するときの安全性を計算するもので、建物は地球上での重力や地震や自然環境といった厳しい条件で立ち続ける必要があるため、役所・民間確認機関への手続き(確認申請)を行うときに「構造計算書」をつける義務を課せられています。ただし木造2階建・平屋建等の場合、法律上構造計算は必要ありません(軸組計算等簡易な方法で行う)。ご質問者の場合、木造3階建てということですから「構造計算」が必要ということになります。では、あの計算式の羅列された100ページにも及ぶ書類をどうチェックすればいいのでしょうか。
結論を申し上げるとすれば、よほど高度な建築知識と構造計算理論(構造力学)の理解がなければ、計算書をチェックし建物の安全を確認することは不可能と言い切ってよいと思います。構造計算から指定された数値を基に設計を行うことを構造設計といいますが、構造計算上導かれた数値は限界数値であり最低限度の耐力を示すもので、通常は限界数値の2〜3倍の強度を確保して部材等を選定し施工することが望ましいのです。 しかし低コストを重視する傾向から、必要最小限度の部材の使用を助長することに繋がったりします。構造設計=経済設計と言われる所以です。改正(平成12年)建築基準法では、ごく稀に起こりえる外力に対してをも想定する「安全限界耐力計算」方法も追加規定されましたが、除外規定も多くすべての建物に適用されるものではありません。 唯一、一般消費者が自ら身を守る手段としては、構造計算書を専門の第三者に依頼してチェックしてもらい、構造図(構造計算書を基に作成する設計図)、施工図(実際の現場で納まりを確認するための図面)を比較してなお種々のポイントでの現場検査に専門家と立会い、竣工図(出来上がりを表す図面・通常施主にはこの図面しか渡されないことが多い)どおりの建物が完成したかどうかを都度確認することしかないと考えます。
2005.12.15

〜賃貸契約の成立…天の声!〜
Q:
賃貸マンションを借りようと思い、不動産会社にて紹介された部屋を気に入り申込金として2万円を預けてきました。その夜留守電に不動産会社から「家主の承諾を頂きましたので」とメッセージが入っていましたが、気が変わりキャンセルすることにしました。翌日すぐに不動産会社に連絡したのですが、「家主が承諾したので契約は成立しています。申込金は手付金となっています(預かり証に記載有)ので没収します。」と言われ、返金できないとのこと。業界の慣習や返金できない法的根拠を教えて下さい。
最も相談の多いトラブルとしてあまねく指導助言を行ってまいりましたが、一向に減らないこの事案に関して、ご相談者及び会員諸氏に「天の声」を!以下、時系列に契約の成立と手付金、報酬の請求可否を解説しますのでしっかりと理解運用してください。

(1)
案内、資料作成・送付、交渉などの実質的労役(業務行為)に関しての報酬請求。  
「不可」→宅地建物取引業者は民事仲介人として契約成立をもって報酬請求権を取得する。(商法4条1項、502条11号より550条1項、546条類推適用・宅地建物取引業法35条、37条)

(2)
申込金を預かる行為。 
「事務管理」→順位の保全、借主の意思確認のために金銭を預かる行為は準法律行為であって、本人の意思に従い本人の利益の為に行う義務を負う。(民法697条・宅地建物取引業法47条の二3項、同法施行規則16条の十二2号により返還を拒めない)

(3)
申込金を手付金として家主に交付する行為。 
「契約の成立後、借主の委任がなければ無効」→申込金として預かった金銭は、当事者双方の意思の合致後、宅建業者としての業務(35条説明、37条書面交付)を完了(当事者の署名捺印まで)させた後、借主の真意に基づき別個の法律行為として、改めて手付金として交付することの委任を受けなければ手付金としての効力を生じない。(民法697条以下・最高裁判所例昭和36.11.30民集15.10.2629.また家主は不当利得にあたる・703条)

(4)
申込金を業者報酬として没収する行為。 
「不可」→手付金であるので返還できないといいながら業者が没収する行為は詐欺罪が成立する。(刑法246条・民法703条不当利得、709条不法行為)

以上、貴殿のケースに当てはめて不動産会社と話し合ってください。 ただし、故意に契約の成立を妨げる悪意があれば、条件成就(民法130条)により契約成立とみなされる場合もありますのでご忠告申し上げます。
2005.11.15

〜火事を出した責任は?〜
Q:
賃貸マンションを借りて住んでいますが、契約の時に火災保険に加入しました。その保険には「借家人賠償責任担保特約」というのが付いているのですが、失火については法的な責任を問われないと以前耳にしたことがあります。こんな特約が必要なのでしょうか。教えてください。
人が生活していくうえで危険はつき物。「もしも火事をだしたら」と思うと火災保険に入らずには夜もおちおち眠れない。ってわけで、火災保険に加入するのですが、特に賃貸物件にお住まいの方はご自分の火災保険契約内容について、ほとんど理解していないのが現状です。ここで、ご質問の問題点を整理してみましょう。

(1)「失火については法的責任を問われないのか」
一般的に故意または過失によって他人に損害を与えた場合、その者は損害賠償の責任を負います(民法709条・不法行為)。ならば火事を出し、隣家隣人、家主にまで損害を与えた火元の行為は(故意・軽過失、重過失を含む)まさに不法行為であり、当然損害賠償責任を問われそうですが、失火ノ責任ニ関スル法律
明治32・3・8法40施行明治32・3・28「民法709条ノ規定ハ失火ノ場合ニ適用セス但シ失火者ニ重大ナ過失アリタルトキハ此の限りにアラス。」の規定により、故意・重過失を除き免責されます。

(2)
「法的責任とは不法行為責任だけか」
隣家隣人、家主に対する不法行為責任は免責されても、賃貸借の規定(賃貸物の現状回復、管理保管責任、契約修了時の返還義務)に照らし家主に対して契約どおりの債務の履行ができなければ、その損害を賠償しなければなりません(民法415条・債務不履行)。この部分は失火による不法行為とはまったく別の法的責任なのです。

(3)
「借家人賠償責任担保特約」は必要か
この特約はまさに(2)の債務不履行による家主からの損害賠償請求に対する補償を担保するものですから、借家人には不可欠の特約といってもいいでしょう。 なお、アパートの1室を借りて失火し、隣室やアパート全体を焼失させた場合は、借りていた部屋だけではなくアパート全部の損害の賠償を認めた判例や、焼失した戸室全ての家賃の賠償まで認めた判例もありますので、特に注意が必要です。
2005.10.15

〜車庫証明の手続きについて〜
Q:
駐車場を借りているのですが、賃貸業者に車庫証明の書類の証明をお願いしたら5,000円請求されました。書類が届き見てみると会社の印鑑が押してあるだけでした。それだけで5,000円というのは高いと思いますがそれは正当な金額なんでしょうか?
まず、車庫証明に必要な書類(正しくは車両保管場所使用承諾書と言います)の発行費用ですが、この件に関してのトラブルは物事の基本的な本質を関係者(地主、借主、不動産業者)が理解していないことから起こっています。
そもそも、この書類(上記承諾書)は駐車場の賃貸人(地主)が賃借人に対し、賃貸物を使用収益させるために必要(車庫証明書がなければ車が購入できない=駐車場を利用する意味がない)なものとして、発行する義務を負うものです。従って、承諾書そのものが有料であるというのは根拠に欠けるところです。 ですから、この費用は単に承諾書を発行する手間賃的な事務手数料だということを知った上で、5,000円が高いか安いかの判断をしなければなりません。 但し、紙切れにハンコという量的な基準ではなく、ご自分が地主サンからこの承諾書を直接頂くとした場合の手間、時間、労力を基準に判断されることが必要です。 なお、駐車場を管理する事業者も、上記承諾書を発行する際に何がしかの費用を請求する場合、かかる費用の根拠を説明できなければ支払いを拒まれることもありそうです。しっかりとお勉強を!
2005.9.15

〜差押え物件の賃貸借について〜
Q:
神戸で仲介業を営む業者です。このたび賃貸の契約を斡旋するのですが、その不動産は神戸市から差押られています(差押登記あり)。所有者は資金繰りに困っており、知り合いに安い条件で借りてもらうことになっています。借り手もその事情(差押も)を承知しています。 このような状態で賃貸契約を締結させても大丈夫でしょうか。また、業者として問題になりませんか。
差押とは、債権者が債務者に対して有する金銭債権の強制執行として、債務者の特定財産を金銭に換えて(換価)弁済を受けるためになす執行手続きをいいます。ご質問の意図は、すでに差押られている不動産を賃貸することが可能かどうか。言い換えれば、差押登記のある不動産を使用収益しても問題ないかということ及び、不動産業者の注意すべきことの2点をお聞きになりたいということですね。 まず、前者の行為が法的に問題となるのですが、差押は差押財産の執行機関による換価のために必要であり、その効果としての処分の禁止は換価のために必要な限度に限られます。つまり、売却したり、担保を設定または質入などの処分行為は換価を妨げることになり債権者に対して無効となりますが、賃貸(使用収益)することは利用行為であり処分行為ではありませんので可能です(民事執行法46条2項)ただし、賃貸借の相手方が例えば暴力団などで差押不動産の価格を下落させるような行為とみなされる場合、差押債権者の申し立てによりそれらの行為を禁止・抑制させることができます(同法55条・売却のための保全処分) 次に不動産業者はこのような物件を扱う場合、重要事項の説明の際に登記事項証明書の提示及び当該物件が強制競売開始決定を受け、貸主が債務の弁済をしない場合には本件賃貸借の権利(賃借権)は競売の買受人に対抗できず、敷金等の返還請求もできない旨を十二分に説明し、納得させる必要があります。また、前述した保全処分命令が発せられていないかも必ず確認すべきでしょう。
2005.8.15

〜契約解除請求について〜
Q:
私は大阪府で分譲マンションの販売代理を手がける不動産業者ですが、お客様の契約解除請求について質問いたします。このたびの契約は新築分譲の青田売りで、もうじき完成予定なのですが、契約当初ご婚約予定であった買主(結婚後も共働き予定)は、お二人の所得合算で住宅ローンの事前審査もパスし、そろそろ融資の本申し込みという段階になって「婚約破棄により、事情がかわったので契約を解除したい」と言って来られました。買主は「婚約者がいなくなり、ローンを申し込んでも通らないから白紙解約」と主張していますが、当社としては「婚約の解消による契約解除は、買主の一方的な理由によるものなので手付解除が相当」と反論しております、ご指導ください。
住宅の売買契約に際し、買主側に不確定要素が存在するにも関わらず契約を締結し、条件が揃う事を前提としてローン特約を付加する。予定通り物事が進めばなんの問題も無いのですが、一つ予定が狂うと契約を履行できなくなるというリスクを、売主買主双方が十分に注意を払わねばなりません。結論から申し上げますと、本件買主の主張が認められる確立は90%、残りの10%は買主側に意図的な詐害行為または重過失があるような場合に、貴殿の側に分がありそうです。紙面の都合上、箇条書きにて論点を整理いたしますのでご参考のうえご対処ください。
(1)婚約・結婚予定ということが不確定要素であることを宅地建物取引業者として十分に認識したうえで本件契約を締結したか否か。(婚姻を証する事実を確認後、契約を締結する等の配慮)
(2)買主の婚約・結婚という要素は、本件契約行為の重要な動機であり、売買契約と相当な因果関係を有すること。(婚約・婚姻の解消による契約の取り扱いについて、予め双方が合意した特約等)
(3)ローン特約はその申し込みと否決があってのみ有効とされる、とはならないこと。(不確定要素を含む融資の事前承認はまさに停止条件付き承認であり、条件が成就しなかったときはその効力を生じない)
(4)買主に本件契約を解除する理由が別に存在し、または当初より婚約・結婚の予定はなく、単に物件購入の手段(融資を受ける方法の一つ)として売主並びに貴殿らを欺いたという事実があるか否か。(他に検討する物件があり、本件を買主の有利に解除しようとしたなど)
以上の論点を本件契約に照らしてご検討いただき、今後の契約に生かしてください。「これでは契約できない!」という声がきこえますが、不動産業界の慣習がすべて認められるとは決してならないことをご理解くださいね。
2005.7.15

〜隣地の柿の木について〜
Q:
私は尼崎市で駐車場を管理していますが、その駐車場の隣地の柿の木が敷地内に枝を張っており、秋にもなると熟した柿が契約者の車両に落ちて苦情を言われます。また、すずめやカラスの糞害も年中あります。管理者として境界線に沿って枝を切りたいのですが勝手に切ってはだめでしょうか。
宅地建物取引主任者の試験勉強をしたころを思い出します。民法233条「竹林の剪除・截取(せっしゅ)権」を覚える際に、講師から「竹の子食っても柿食うな」なんて教えてもらいませんでしたか。ご相談の内容は同法233条の規定にあてはめて判断すれば、貴殿が柿の木の枝を剪定することは出来ず、柿の木の所有者に枝を切らせることが出来るという権利の主張をするにとどまります。特に後々の近隣関係の悪化を考え、隣地所有者に掛け合ってください。しかし、隣地が空き地で所有者が行方不明もしくは枝を切らないと言ってきた場合はどうでしょう。民法233条は任意規定であり、規定と異なる慣習等があればそれに従うとされています。地域の慣習として自治会等が定期的に空き地の除草や不法投棄ゴミ等の除去作業を行っているなどの事実があれば、良好な環境を維持するために必要な範囲で当該枝の剪定も許されると考えます。法律は物権(この場合は所有権)の円満な実現に対する妨害を除去・予防するための請求権を認めています(民法197条以下)。緊急避難的措置として枝を切る(民法720条2項)という考えも無くはありませんが、法は自力救済を認めず、占有訴権の存在意義からもそれぞれの手続きを踏まねば、思わぬしっぺ返しを食らうかも知れませんので注意が必要ですね。
2005.6.15

〜当該ハイツが事務所・店舗と住宅の併用?〜
Q:
私は住宅地の賃貸住宅(ハイツ)に住む者です。8軒ある同じ物件に個人経営のエステ店舗が入り、そのことでご相談です。
不動産会社によると、エステ店舗は別の場所(駅前)にあるので、部屋は「事務所」とのことでした。だから、そんなにうるさくないでしょう…との説明でした。が、最近、人や車の出入りが激しく、再度不動産会社に問い合わせたところ、3度目の確認で実は「店舗」として認めていると回答されました。この店の場合、大家も了承しているので違反にはならないということです。
契約さえ結んでしまえば、住民として「静かな環境を望む」権利は、無視されてしまうのでしょうか。また、エステと言っても様々です。ある程度は許容しようと思っていますが、共有スペースへの車放置や騒音など、正直苦痛を感じております。不動産会社に責任は無いのでしょうか。契約が結ばれている以上、どこへも口を挟めないのは分かっていますが、何か改善策はないか考えております。よろしくお願いします。
民法601条にいう賃貸人が賃貸物を使用収益させる義務とは、使用収益に適した状態で引き渡すことだけではなく、引き渡した後も賃借人がその契約に応じた用法に従い、使用収益するのに適した状態を保持し、その使用を妨害しないこと及び使用に適さない状態があれば適切な状態に回復することまでも含むと解されています。故に本件の場合、エステ店の営業によって貴殿並びに当該ハイツの他の世帯が、本来の用法、すなわち住宅としての使用に一般人を以ってしても受忍しがたい迷惑を被っておられるのであれば、民法616条(594条の準用・借主の使用収益権)により、本件住宅の賃貸人(家主)に対し適正な住環境に復させること、または契約の解除ができると考えます。 また、貴殿らが当該ハイツの契約にあたり、他の住戸について店舗使用を禁じ若しくは住宅以外の用途に附さない旨を説明されたにも関わらず、本件のような事情が発生したのであれば、本来の用法に戻すよう貴殿らは家主に対して請求することもできます(借地借家法31条、旧借家法1条)。
しかし、当該ハイツがもともと事務所・店舗と住宅の併用であり、前述した事情も存在しないのであれば、貴殿ご推察のとおり当該ハイツ内の一室の用法について、他の賃借人が異議を唱えるには根拠に乏しいといえます。
尚、本件契約を仲介した不動産会社の責任については、重要な事項の説明時、物件の用法等に虚偽の説明をし、エステ店を入居させたなど過失が認められるなら、貴殿らが被った損害や苦痛について不動産会社の不法行為に基づき損害賠償を請求できると考えます。
2005.5.15

〜賃貸マンションの競売について〜
Q:
昨年の6月に賃貸マンションを借りたのですが、今年の始め裁判所から手紙が届き、この部屋が競売に掛かっていることを知りました。間もなく裁判所執行官とかいう人がいきなり訪れ、強制的に部屋の内部の写真を撮って帰りました。まだ半年そこそこしか住んでいないし、契約も2年契約です。私は追い出されるのでしょうか?その場合、敷金や手数料、引越し代など誰かに弁償してもらえますか?仲介した不動産業者は家主の事情を調査すべきではないのですか!腹が立って夜も眠れません。
貴殿の心情お察しいたします。バブル崩壊以後、不動産に投資しているオーナーの破綻・倒産が相次いでいます。まさか自分の借りたマンションが競売に掛かるとは、借りるときにはほとんど誰も思わないでしょう。しかし、業界では日常的に起こっている事案なのです。 平成16年4月改正民法が施行され、いわゆる短期賃貸借(建物賃貸借にあっては3年以下)の保護規定は廃止されました(民法395条)。これにより、貴殿の場合も抵当権に後れる賃貸借契約であれば、契約期間の長短に関係なく競売による買受人の代金納付(所有権取得)・明け渡し請求後6ヶ月以内に、マンションを出なくてはなりません。さらに買受人に対して敷金等の返還を請求できず、元の家主に返還してもらうしかありません(破綻状態では実質の返還は難しいかも)。であれば、このような物件を紹介した不動産者に責任を取ってもらいたいところですが、抵当権の設定の有無について調査を怠り、明らかに外観上も露見しているほどの家主の破綻状況(他の物件もすでに競売に付されていたことを知っていたり、管理費などの長期に渡る滞納や、前賃借人への敷金未返還など)を故意に貴殿に告げなかったなど、専門家としての注意、告知義務に違反していることが明らかな場合を除き、家主の経済状態を積極的に調査・把握することは難しく、業者に責任を問えるかは疑問です。
一方、我々不動産業者はこの度の民法改正を軽視せず、充分な物件調査と借主への説明を怠ってはいけません。調査怠慢により、7万円の仲介案件で400万円の損害賠償が認められた判例も存在しますので、ご注意を!
2005.4.15

〜造作買取請求権の放棄・制限について〜
Q:
平成3年に賃借人とマンションの賃貸借契約を結び、契約続行中ですが、本年3月末に退去することで契約が終了します。その際、賃借人から「契約期間中に入れ替えたシステムキッチン(食器洗い機付き)を買い取って欲しい」と申し出がありました。契約書には当初から「賃借人の造作物については賃貸人が承諾したものと言えども契約終了時、その所有権を放棄するものとし、賃貸人に買い取り請求できない。」とする特約を結んでいますので、当方としては買い取るつもりはありません。契約は自動更新で、一度も変更していません。「問題あり」でしょうか。
結論から申し上げますと、「問題あり」です。貴殿は賃借人が取り付けたシステムキッチンを時価で買い取らなければならないと考えます。 平成4年8月施行の借地借家法では、ご質問中の造作買取請求権の放棄・制限についての特約は有効としていますが、本件では旧借家法の規制が適用されますので、賃貸人が承諾した造作のうち、賃借人の所有に属し(賃借人が代金を負担)かつ建物の仕様に客観的便益を与える(流し台設置は判例において買取対象となる造作と認められています。)ものは、同上請求の放棄・制限を特約しても無効となります(旧借家法5条は強行規定とされています。同6条)。 一般的にこのような特約は、借地借家法の改正以前からよく目にしてきた条項ですが、この特約が全ての造作を当てはめる目的で利用されだしたころから、裁判などで家主敗訴の結果が目立ってきました。また反対に賃借人も、有益費償還請求権の範囲と造作を混同して、やみくもに買取請求をするケースも少なくありません。法の言う造作とは何を指すのかが判断の基準になります。(最高裁判例・昭29・3・11民集8・3・672) なお、改正後の借地借家法は旧法下の契約にも適用されますが、前記特約が有効となるのではなく、新法施行後に新たに買取請求権の放棄・制限を取り決めた場合にその効力を認めるという趣旨ですから、平成4年8月以降の約定が在るか無いかがポイントになります。
2005.3.15

〜境界線について〜
Q:
ある業者が隣に家を建築しています。建築前から『境界が違う』とかうちとの境に建っている塀を『ここまで壊しても支障は無いだろう』という威圧的な態度でした。建築物についても、『お宅のベランダとうちのベランダはかぶりません』と言っておきながら、同じ位置にあり、離れていません。建築が始まってからも、建築物にカバーをかけず、こちらのベランダや車、敷地には木屑や釘、ゴミ等様々な物が入ってきました。苦情を言うと『我慢するのが当然』という態度でした。また、カバ−をかけていないため、離れていないあちらのベランダからは工事の方が通るたび、生活を覗かれているようで、心理的負担があるのも事実です。また、うちの敷地にかかって工事の車が止まっていて、車が出せないことを言うと『どっちに出るんだ』くらいな威圧的な態度を取られ、すぐに車も出せません。私たちのような素人は何も取るべき対策は無いのでしょうか?
貴殿のお気持ち、お察しいたします。とかく最近の世の中は、建築工事に限らずあらゆるところで身勝手な行為言動が横行している気がしますね。ピカチュウは人気者でも、自己中は許せません! 本件ご質問の現場に回答者が立ち会っていたわけではありませんが、貴殿に限らず建築現場でよく耳にする苦情です。この際、当該建築工事の差し止めを求めて法的手段に訴えたいところですが、よく聞く工事差し止めの仮処分とは、現に係争中の権利を保全するため(民事保全法23条1項)、或いは権利関係の争いがあることによって、債権者に生じる不安や危険を除去するために仮の地位を定め、債権者を保護する目的で認められるもの(同23条2項)の2通りしかありません。従って本件の場合は、近接するベランダに民法235条(観望施設の制限)違反が認められ、業者が目隠し板を設置しないなど、貴殿の権利を保護する必要性がある場合以外は、この請求は認められないことになります。しかし民法709条は「不法行為」として当該建築工事によって貴殿が受けた受任しがたい迷惑を、損害賠償という形で救済できるとしています。当然、業者は故意ではないと反論するでしょうが、不法行為は故意・過失を問いませんから、相手方が充分な注意義務を怠り、通常予見し得る損害を与えた事実があれば不法行為責任を負うとされます(大判・大5・12・22民録22.2474)尚、当協会は宅地建物の取引に関与する事業者の団体ですから、本件建築行為の内容については管轄外であることをご理解ください。
2005.2.15

〜競売情報の提供と宅建業者の報酬〜
Q:
こんにちは。早速質問させて頂きます。私は店舗付き住宅を探しており、ある業者さんに物件を探してもらっていました。先日、その業者さんが競売物件でよいのがあると連絡があり、あなたのかわりに代行してあげますとのこと。落札した場合に落札価格の3%プラス6万円を代行料として頂きますとのことでした。最近は一般人も多く競売物件に入札する人もいると聞いてますが、業者がそのような話をもってくるのはあまり聞いたことがなく不安に思っております。宅建業者がそのような行為をしても業法違反にはならないのでしょうか?それとも宅建業とは別の行為、例えば、競売に関して代行する旨の業務委託契約を交わした場合には関係ないのでしょうか?教えて下さい、よろしくお願い致します。
宅建業者が競売物件の紹介をしたことが「媒介」行為にあたるか、又あたらないとしたら、報酬額は何を基準に算定すべきか問題となります。 まず、宅建業者が不動産の媒介をしたときは報酬について約定が成立していなくても、委託者に対し商法512条に基づき報酬請求権を有しています(最高裁判例:昭和38年2月12日)。ご質問の競売物件の紹介(手続き代行を含む)が媒介行為にあたるのであれば、建設省(国土交通省)告示1552の規定報酬(3%+6万円)の請求には根拠がありますが、この点について岡山地裁判例(昭和54年9月27日は「競売手続きにおいて、競落物件を委託者に競落取得させるために尽力する活動、すなわち、競売物件の情報提供、物件調査、案内ないし競売手続きの補佐あるいは受任等という意味での媒介の余地が在るとしても、それは普通の不動産売買における媒介とはその意味が全く異なり、本来不動産仲介契約及び報酬額の基準である建設省告示が予定する媒介行為とは類型的に異質な行為であると言わざるを得ない。」としています。その上で業者は、商法512条に基づき競落に寄与した割合により相当額の報酬請求がなし得るものとし、建設省告示報酬によるべきでないとしています。 つまり、本件行為は準委任契約による任意の約定を以て報酬額を決定すれば足り、3%+6万円にこだわる必要はないということです。又、競売物件の紹介行為は商行為であり、違法性は無いものと考えます。
2005.1.15

〜災害による賃貸借の終了と敷引き〜
Q:
先日の台風23号による被害で、私がお世話をした賃貸借契約の貸家の入居者から「床上浸水の為、このまま暮らすことが出来ないので退去したい。ついては当初に預けた保証金(敷引きも含め)全額を返還してほしい。」との連絡を受けました。家主は敷引きを返還したくないと言っています。どう対処すればよろしいでしょうか。また、宅建協会の方では災害による賃貸借契約の解約においては、敷引きを取らないようにとの通達を出していると聞きましたが、全日協会ではどのようにお考えでしょうか。
賃貸借契約が災害等不可抗力によって契約期間の途中に終了せざるを得なくなりた場合、阪神間特有の商慣習である敷引き(敷金より賃貸借契約によって予め一定額或いは割合を控除することを約定Lた金額)の適用の有効性については、先の阪神淡路大震災以降神戸・大阪を中心として幾つかの裁判所の判断が示されました。そして平成10年9月3日・最高裁小法廷は「賃借人は原則として敷引き金の返還を請求できる」という判断をくだしました。
つまるところ、賃貸借契約の終了に基づき控除される敷引き金は、当事者双方の予期せぬ時期に、賃貸借行為が突然終了を余儀なくされるような事情まで、敷引きを返還しないとの合意があるとは言えず、そのような合意若しくは特段の事情がない限り返還すべきものという主旨のようです。
LかL、裁判所は常に解釈の基準を示すにとどまりますので、ここでもやはり「それなりの合意、特段の事情」を残しています。従って、賃貸借契約期間が敷引きの適用を認めうる程度に長期間継続している場合や、約定に「天災地変その他如何なる理由による契約の終了であっても敷引き金は返還しない」との合意がされているとか、実質的に礼金であると判断できる場合など、ケースによっては災害による賃貸借契約の終了であっても、敷引きが認められる余地はありそうです。また、当協会では以上の理由から、協会としての判断を固定して通達は致しませんので、会員個々の事情でご判断され、解決を図られますように期待致しております。
2004.12.15

〜借地権付き建物の購入について〜
Q:
このたび(中古物件)(土地、建物別所有)の土地のみを購入しました。つづいて家屋の建物+借地権を買い取ることになっています。所有者は既に他界されていて3人の方が相続されるようですので、それぞれの印鑑等が必要らしいのですが、間に立つ不動産業者が確かに売買できるようにまず名義を不動産業者に移して同時に不動産業者から私に手数料込みの金額で登記すると聞いていますが?そんなことしなくて相手側から私に登記して別に手数料を支払うのが普通だと思うのですが、司法書士の方が居ても危険なことなのでしょうか?この不動産業者は信用できますか?
ご質問中の借地権付き建物を貴殿が取得する際の手順は次のとおりとなります。(1)当該建物の所有者(相続人)に対して旧所有者(被相続人)より夫々の相続分に応じた持分を登記します(相続を原因とする所有権移転)。(2)新所有者からの持分全部移転(本件売買を原因とする所有権移転)。この場合、当該仲介不動産会社が一旦前記(1)と(2)の間に介在し、後に貴殿に当該建物の所有権を一括で移転するという手法をとる必要はあまりないと考えます。すなわち、本件のような死亡した者の名義の不動産を購入する際、注意しなければならないことは、貴殿と売買契約を締結した相手方(当該相続人3名)が、間違い無く当該建物の旧所有者の相続人であって、他に相続人となるべき者が皆無であるか否か、など(1)の手続を行う部分での問題です。したがって、当該不動産会社が本件取引の中間に介在することと、(1)の手続きをスムーズに進めることとの間に何ら因果関係はなく、言い換えれば、当該相続人の言い換えれば、当該相続人の責任において(1)の手続きが完了すれば、貴殿に直接(2)の全員持分全部移転を行うことは、一般の売買形態とまったく変わりありませんので、当該不動産会社の中間介在は不要ということになります。貴殿のご推察のとおり、(1)(2)の手続きにおいて担当する司法書士が、所有権移転に問題がある場合(他に相続人のあることが判明するとか、相続分に不満があり遣産分割協議が整わないなど)、本件取引が成立しないことを説明してくれるでしょうから、貴殿としては(1)の手続きが完了するのを待っていればよいと考えます。当該不動産会社に納得のいく説明を求めてみてはいかがでしょうか。
2004.11.15

〜売買契約時の仮差押について〜
Q:
土地と建物の売買契約をする段階になって、購入予定の土地が仮差押されていることを知りました。仲介業者を挟んでの取引なので仲介業者に相談したところ、「建物を建築して引渡すまでに仮差押を抹消できなければ、契約そのものを取消す」という内容の契約であり心配はいらないとのことです。また、仮差押について売主にその内容を尋ねると、「仮差押は以前の知合いで自己破産した者の債権者が、返済義務の無い売主の資産を何らかの方法で仮差押したもので、その土地価格相当額の現金を裁判所に預託金として預けて裁判する予定であり、仮差押は近々抹消することができる。」と返答がありました。このような場合、できるだけリスクの少ない形で契約及び引渡しをしたいのですが、何か注意する点はありますか?
一般的に所有権の円滑な利用を阻害・制限する他人の権利や、将来に渡って所有権の所在そのものにかかわる裁判上の権利が存在するような不動産を購入することは、特別の事情又は余程の知識経験がなければ敬遠されるのが普通です。特に住宅など一般人がかかわる物件では、利用する住宅ローンの取扱金融機関なども、それらの権利・制限を取り除いた後でなければ融資の対象にしてもらえないというのが実情です。従ってこの様な物件を購入するのであれば、それなりのリスクを覚悟して契約しなければなりません。「仮差押」とは、民事訴訟の本案(訴訟の対象となる原因)から推測される権利などを保全する為に債務者の財産を現状のまま凍結し、又は、権利者に生じる危険や不安を除去することを目的として、本案の目的が金銭債権である場合に、債権者の申立てにより裁判所が行う「保全執行」の方法で「仮差押」の登記又は強制管理(併用可)という方法で行います。(民事保全法参照)そこで貴殿が当該取引を進めていくに当たって注意しなければならないことは、本件売買契約における失権約款(仮差押登記の抹消が出来なければ契約の効力を失う)は当然のことですが、契約締結時に手付金等の金銭を交付せず、当該登記の抹消確認後とする。若しくは手付金を保全させる等の措置が有益かと思います。又、売主の説明を安易に信用せず、事実関係のみを証明(仮差押命令に定められた執行停止の供託金の額が供託され、登記が抹消された事実)してもらうことが重要です。(民事保全法20条22条・47条・51条、民事執行法46条2項、民法561条)
2004.10.15

〜『売買契約の解除』について〜
Q:
二ヶ月ほど前に一戸建て中古住宅を買う為売買契約を交わしたのですが、引き渡し(来年3月)前に仲介不動産会社から相手方からが契約解除してほしいと連絡があり明日詳細説明に伺いますと言われました。手付けとして買値(2,450万円)の10%を払っていて、契約解除の際は手付け+手付けと同じ額を売主からもらえるという契約なのです。しかし子どもの学校、これまでの気苦労、労力、これまで使った細々とした費用等、腹が立ってなりません。売主、仲介業者に手付けの倍返しのほかに請求はできないのですか?また、仲介不動産会社から「契約は成立しているので、手数料はいただきます」と言ってきたのですが、支払わなければならないのでしょうか?
ご質問の不動産取引は、契約行為の時より当該不動産の引渡しまでの期間が長期に設定された契約内容になっているため、価格の変動または危険負担や契約解除の問題など、種々のリスクを含んでおり、契約行為の段階で相当の注意を払い、ある程度予測される前記リスクを回避する手段を講ずるなどした上で、契約行為を行う必要があったとされます。本件において交付された手付金はご質問から判断すると解約手付であると推測できます。これは当事者の一方から相手方が契約の履行に着手するまでであれば、手付金を放棄または倍返しすることにより、一方的に契約を解除することができます。こうした解除が為された場合、相手方は損害賠償の請求はできないとされています。(民法557条)「履行の着手」とは債務の内容たる給付の実行に着手すること。すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部を為し、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す(最高裁判例昭和40年11月14日)といわれています。ですから、本件のような契約の締結行為から実際の物件引渡しまでに相当の期間がある場合、引渡し期日近くになるまで、双方が契約の目的達成のための実行行為に何ら着手しないことが予想され、その間に当該手付金特約による解除を申し入れられた場合、当然「履行の着手」はなく、契約解除が認められることとなります。貴殿の心情は理解できますが、契約とは法律行為であり、相手方に不法行為など特段の事情が無い限り、締結した特約に拘束されることは当然なのです。また、仲介した不動産業者から「仲介手数料を請求された」とのことですが、本件契約は手付金特約による解除が認められることから、有効に成立した契約として、不動産業者は報酬請求権を失わないと考えます。しかし、国土交通省告示の規定報酬はあくまで上限を定めたものですから、報酬の支払い額についての約定がなければ、本件契約の目的を完全に達成できなかったとして、受領した手付金の額等を考慮し、相当の額を定めるよう交渉してみてはいかがでしょうか。
2004.9.15

〜『業として行う』について〜
Q:
宅地建物取引業法にある業として行うというのは、不特定多数の人に反復継続して行うこととありますが、イマイチ要領を得ません。何かの本の例には、社員に売る場合は業にならないとかありますが、社員も入社したり、やめたりして人数も変わり結局不特定多数にならないのですか?これが特定しているというのなら、○市の住民登録をしている住民にしか売らないというのも特定していることになるのではと思います。反復継続というのも個人が50部屋のマンションを仲介業者を通して売る場合に、この一棟のみで後はやらないというなら反復継続していないので業にならないのではないでしょうか。
まず、宅地建物取引業法2条2号には宅地建物取引業の定義がされてますが、「業として行う」とはありますが、その解釈を「不特定多数の人に反復継続して行うこと」などとは説明しておりません。確かに一般論として「業として行うこと」の定義の一つではありますが、そのこと=業としてにはならないと考えます。平成13年1月6日国土交通省総動発第3号1の(1)に、「業として行う」とは、宅地建物の取引を社会通念上事業の遂行とみることが出来る程度に行う状態を指すものであり……諸要因を勘案して総合的に判断する、という考え方を示しています。
従ってご質問中の企業の従業員に対する分譲も、従業員が不特定多数の相手方に当たるか否かという議論はさほど重要ではなく、あくまでも企業の行為に事業性(一定の利益を目的とし、転売の為に物件を取得するなど)が高いかどうかを判断の基準とすべきであると考えます。なお、不特定多数の解釈としては、当事者間に特定の関係が認められないものとしていますので、雇用関係は明かに当事者間における特定の関係が存在するものであり、その定義からは除外されます。それから考えてみますと、ある都市の住民登録をしている者のみを対象とする分譲については、企業側が企画する販売戦略の問題であり、企業と住民の間に特定の関係は認められず、雇用関係とは逆に不特定多数の対象といえます。また、「反復継続」の解釈ですが、50室を個別に販売することは、売買行為そのものを50回反復することであり、たとえ、当該事業1回のケースといえども前述した不特定多数を対象とし、事業性を帯びている限り、業として行うことに当たり、議論の余地は無いと考えます。
2004.8.15

〜不動産売買契約の手数料について〜
Q:
私は大阪市中央区本町で仲介がメインの不動産会社を経営している者です。実は不動産売買契約の手数料の件で質問があります。不動産免許を持っていない個人(弊社と社員契約もしていない)に物件紹介料として手数料の一部を払わないといけないのですが、どのように会計上は処理すればよいのでしょうか?それから通常で物件紹介料はいくらくらいが相場なのでしょうか?今回、問題になってる手数料は540万円で、その個人に180万円払いたいと思っております。ご返答の程よろしくお願いいたします。
平成14年度税制改正により、資本金5000万円以下の法人が交際費を支出した場合、年400万円以下の部分の20%と年400万円を超える部分につき損金不算入となりました。本件ご質問の物件紹介料を税法上の区分でみますと、貴殿が仲介手数料の一部分として支払う認識であっても、所定の形式を備えておらず、立証が困難で常識の範囲を超えていると判断されれば、前述した交際費としてみなされます。つまり、本件手数料の発生根拠である当該取引の主たる支払経費としての仲介手数料は、あくまで手数料を受ける側に受領根拠(宅地建物取引業者の報酬請求権)があり、それに基づいて損金算入が認められています。しかし、報酬請求権のない一個人が手数料名目で受領しても、税法上隣接費用とされ、所定の形式を備えておらなければ交際費として支出したことになり、全額を経費として計上できないことになります。では所定の形式とはどういうものかといいますと、本件のような情報提供に基づく紹介料のような場合、?情報提供者と事前に請負契約を締結していること?情報提供の内容とその対価について取り決めがあること?取り決めた対価が常識的な水準であることが必要とされています。従って、前記立証が出来ないような多額(本件の180万円は常識の範囲とは認められないと考えます)の紹介料は経費とは認められず交際費として計上しなければならないと考えます。なお、紹介料の常識的な範囲はケースバイケースのところもありますが、おおむね10万円程度が妥当かと考えます。また、当然のことながら、紹介料支払基準などの社内規定を整備する必要はあります。
2004.7.15

〜不動産購入時の説明義務について〜
Q:
平成5年8月に中古住宅を地元不動産業者の仲介で買いました。私道に面した3連戸の真中のテラスハウスで、公道に面しているのは1軒だけです。今回この家を売りにだすにあたり明らかになったのですが、奥の2軒は接道の関係により独自の立て替えができないとのことで、売値が大幅に下がってしまいました。しかし、購入時の重要事項説明の中にはそのことについては一言も触れられていませんでした。これは説明義務に違反しているのではないかと思いますがいかがでしょうか。
一般的にテラスハウスと呼ばれる住宅は、低層の連棟式住宅(一棟の建物の区分所有)で、分筆した敷地を夫々の区分建物所有者が単独に所有する形態を備えたものを言います。通常この様な住宅は、マンションなどの共同住宅に準じた利用形態を持つため、区分された建物の専有部分のみを建て替えることは、基本的には想定していない場合が殆どです。従って、購入した後に区分建物の専有部分を単独で建て替える際には、当然建蔽率、容積率の既存不適合や、接道義務を満たさないなどに加え、切り離しに際して生ずる建物全体の構造上の強度が問題になるほど、多くの制限が課せられます。このようなことから、貴殿ご質問の住宅も、あくまでも一棟の建物の専有部分として販売されたことが推測されますので、購入時の重要事項説明を交付する際、現状の利用に関する範囲での建物の敷地に関する権利及び内容の説明で足り、購入後の利用用途の変更(立て替え)や、第三者に譲渡する時点での市場評価まで想定して説明する義務は負わないと考えます。従って、本件転売時に第三者が、単独建替えが出来ないことを理由に当該物件の価格を安価に査定したとしても、購入時の重要事項説明の際、単独建替えが可能かのような嘘偽の告知を受けたとか、建替え時の説明を求めたにもかかわらず、故意に事実を告げなかったというような、仲介業者の義務違反(宅地建物取引業法第35条第1項5の2、同47条)が明らかな場合を除き、仲介業者の責任を問うことは難しいと考えます。
2004.6.15

〜家賃の日割り清算について〜
Q:
先日、借家から退去したのですが、不動産業者さんの立合い時に、月途中であったため、家賃を日割り計算して欲しいと申し出たところ、「勝手に出て行くのだから、日割り清算はしない。また、契約書にも書いてある。」と言われました。改めて契約書を見直したところ、何処にも書かれていなかったので再度確認をとったところ、「契約時にちゃんと説明した。」とのことでした。私の方は説明を受けた覚えがないのですが、清算してもらうことはできないのでしょうか。
不動産業者が実務上で使用している賃貸借契約書の標準的な約定条文の中には、殆どと言ってよいほど「借主から解約をする場合、明け渡し期日の○ヶ月以上前に貸主に対し通知しなければならない。ただし、賃料の○ヶ月相当額を支払うことにより、即時契約を解除することができる云々」という特約が盛り込まれているようです。この特約は、契約期間中の一方からの解約について、予告期間を定めたもので相手方に著しく不利益とならないものであれば、原則有効と考えられています。なぜなら、契約に期間の定め(例えば二年とか三年契約)がある場合、その期間は貸主、借主にとっても当該契約に拘束されるわけで、期間途中の解約は、原契約を変更して終了させるため、特別の方法を用いて処理する理由が生まれるからと考えます。従って、期間満了までの賃料を受け取る権利を有する貸主は、逸失利益に代わる損害賠償又は違約金的性格の金銭の補填を求めます。他方、借主は住居を続けられなくなることの経済的損失や精神的、社会的苦痛などを求めることになります。前者は本件のいう予告期間賃料相当額などであり、後者は立退き料や移転に伴う費用の賠償などが考えられます。(民法619条、借地借家法26条・28条)

本件の場合も、前述した貸主の権利の代替として、解約予告期間分の賃料相当額を請求しているものと察しますが、あくまで約定によって双方合意した場合の任意の方法ですから、取り決めがなされなかった場合は民法601条により、使用収益が終了した時点で賃料の支払債務も消滅すると考えられます(明け渡し時点での賃料清算)。ただし、今日通知して明日退去、なんて迷惑なことは論外ですが。しかし、当該不動産業者が契約終了時の金銭の清算に関してその説明を怠ったのであれば、重要な事項の説明義務違反であるとして、貴殿が被った損害を不動産業者に請求することは可能と考えます。(宅地建物取引業法35条1項12号、同法施行規則16条の4の2第7号)
2004.5.15

〜印紙について〜
Q:
平成15年に新築一戸建てを購入したので確定申告に行ってきました。しかし提出願書類の「売買契約書の写し」で印紙が貼っていないのでその日は提出できませんでした。印紙の貼ってない売買契約書でも有効なのでしょうか。また印紙は自分で用意しなければならないのでしょうか。支払手数料に売買に関する費用はすべて含まれると思っていました。また素人としてはいくらの印紙を貼るのか分からないし、契約時なら15、000円(税務署でこれくらいと言われた)も大きな額ではありませんが、今では大きな額です。
西暦645年(大化元年)中大兄皇子や中臣鎌足らが中心となって、中央集権国家を建設するため行った政治改革(大化の改新)の基本構想の中に、租・庸・調と呼ばれる税制を定めて以来21世紀の現代まで、国家を維持するために課せられた「納税の義務」を私達国民は常に負っています。と、言うと何か懐かしい歴史の授業を思い出しますね。さて、現代の税制には多様な制度が存在しますが、流通税(財の移転に着目して課税する税)と位置付けられる税金の税目の中に、この印紙税があります。印紙税は通常、収入印紙を貼付して納税するのですが、貴殿の法律行為(不動産の売買)にも複数の種類の課税対象行為が存在しています。(売買契約・登記・不動産取得・不動産保有など)また、これらの税は納税義務者と担税者が同一である直接税といわれる税金で、貴殿が購入した住宅に課せられた消費税は、納税義務者が事業主である間接税といいます。したがって、消費税は価格や仲介手数料に含まれますが、貴殿ご質問の印紙税は仲介手数料や価格に含まれるものではないことは勿論、貴殿(買主)だけでなく売主にも当然課せられている税なのです。仲介不動産会社の受け取る手数料は、仲介会社の労役に対して支払う報酬ですから、印紙は納税義務者の貴殿が用意して貼付することになります。ご理解ください。なお、印紙不貼付と法律行為の有効無効には法的な関係はありませんので、当該売買契約は有効に成立します。

難しい言葉になりますが、課税要件(租税構成要件)が充足(本件の場合は貴殿の不動産売買行為)された貴殿に、租税債務が発生し、納税義務が課せられます。(国税通則法、国税徴収法、印紙税法など参照)。

なお、印紙不貼付や不消印には、故意過失を問わず過怠税(現行納税額の三倍)が課せられますので、くれぐれもご用心を。
2004.4.15

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