★ご当選者お喜びの声(2008年11月5日発表)★     〈ラビット賞〉「リゾートを満喫“グアム旅行”4日間ペアで行ける!」・・・【K・Tさん/兵庫県】あ・・・当ったんでしょうか???半信半疑のまま、コメントしてます。グアム行けるんでしょうか????どうしましょう!!幸せです^^      〈ハムスター賞〉「全国百貨店共通商品券 or JCB商品券」(20,000円分)・・・【H・Kさん/埼玉県】まさか当たるとは思ってなかったので嬉しい〜!!!ありがとうございましたm(__)m     〈キャロット賞〉「全国百貨店共通商品券 or JCB商品券」(5,000円分)      …その他、たくさんのお喜びの声をいただいております。     ぜひ、『当選者のお喜びの声』をご覧ください!
【不動産Q&Aシリーズ】
注)ご質問に対する回答は、個々の諸 事情により異なった見解又は判断となる場合がありますので、類似案件として参考程度にとどめおきください。
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〜建築条件付宅地と請負契約…白紙解約はいつまで出来る?〜
Q:
この度、建築条件付宅地を契約し、土地の売買契約と同時に建築会社と建物の請負契約を締結しました。その後、2ヶ月間、建物プランの打ち合わせを数回行いましたが、合意に至らず、この契約を解除しようと思い、不動産会社に申し入れましたが、すでに条件が成就しており、解約するなら土地売買契約手付金と請負契約着手金の合計300万円を放棄するよう言われました。建築請負契約は締結したというより「させられた」もので、広告では3ヵ月以内に請負契約を締結することになっています。手付金、着手金は返してもらえないのでしょうか。
2003年(平成15)4月10日付、社団法人・首都圏不動産公正取引協議会による構成団体長宛通知、7月23日付「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」 の改正により、現在では建築条件付宅地の販売方法が緩和されています。新しい公正競争規約では、建築請負契約の締結期限を廃止し、請負業者の制限も無くして自由に建築業者を選択できるように改正していますので、土地の売買契約締結後、6か月以内、1年以内などの請負契約締結を条件とすることも可能です。また請負業者についても、「売主」「売主指定の業者」「予め用意した数社の中から選択」「買主の自由」など、土地売買契約時の当事者間における合意で選ぶこともできます。ただし、広告表示の段階で業者側が付した条件が、この範囲であればそれもまた違法なことではありません。

ご質問者の問題は、「当該土地売買契約と同時に建築請負契約を締結させられた」ことに焦点を絞って考えます。本来、建築条件付という土地の販売方法を許した背景には、建物建築後の販売不振リスクを回避する業者側の利益に対し、注文建築並みの自由な選択権を消費者にもたらすことを条件に認めた特例措置(抱き合わせ販売の禁止・独占禁止法19条及び公正取引委員会告示一般指定10、広告開始時期の制限・宅地建物取引業法33条等に抵触しないとする)であるからです。しかし、本件のように土地売買契約と同時に、とりあえず請負契約を締結させた後に建築プランを決定するような行為は、自由な選択権を阻害し、予め用意したプランに誘引するなど「建売住宅の違法販売」と同じ結果になりますので、当該契約は無効と言わざるを得ないと考えます。この判断を基に、相手方業者と交渉してみて下さい。もし、相手方が応じない時は、所属団体または行政所轄指導課にご相談下さい。
2008.11.4

〜「管理」という響きに潜む落とし穴…人任せは危険がいっぱい?〜
Q:
京都市内に複数のワンルームマンションを所有し、賃貸しています。この度、入居者管理を委託していた不動産業者が行方不明となり、集金した賃料が振り込まれていません。店舗も、もぬけの殻で、担当者や代表者との連絡も取れなくなり、困っています。貴協会の保証協会では、このような場合、持ち逃げした家賃を保証してくれるのでしょうか。
最近、不況のあおりを受けて、このような心苦しいご相談を受けることが多くなりました。被害者の家主さんには大変お気の毒で、掛ける言葉も見つかりません。一番悪いのは当然家賃を持ち逃げした不動産業者なのですが、保証協会ではこのような業務を「宅地建物の取引」とは認めておらず、家主と不動産業者の間に結ばれた「賃料集金代行」の業務委託契約として分離しています。いわゆる「宅地建物の取引に関連して」発生した債権とは認めていないという立場です。従って、保証協会からの弁済は、期待出来そうにありません。

このようなケースでは、賃貸借契約の当事者は貴殿と賃借人であり、家賃の支払い先が当該不動産会社となっている場合がほとんどですから、貴殿は賃貸人として直ちに賃料の支払い先の変更を賃借人に通知し、これ以上被害が増すのを食い止めて下さい。その上で、弁護士等の専門家にご相談され、当該不動産業者との委託契約を解除し、取り込まれた賃料の返還請求を行なって下さい。

賃貸借における業態は、不動産業者自ら貸主または借主、仲介(媒介)業務、代理業務に分類できますが、保証協会の弁済業務の対象となる行為は、宅地建物取引業者が行なう業務(宅地建物取引業)の範疇であり、宅地建物取引業法第2条1項2号の規定により、貸借の代理、媒介しか含まれていません。つまり、不動産業者が借主である場合の賃料不払いであるとか、本件のような賃料の集金代行契約の債務不履行は、保証協会の認証債権とはならないとしています。

不動産業者の中には、賃料集金や賃料不払いの賃借人に対する督促を請け負う「入居者管理」を強く家主に勧める業者もいるようですが、家主としては、係る業者との信頼関係を充分に構築した上で、当該業務の委託を検討されるよう願って止みません。

2008.9.2

〜「我が家も禁煙!?…タバコ愛好家の嘆き」〜
Q:
大阪で賃貸マンションに5年間ほど居住しています。この度、転居を考えていますが、私はヘビースモーカーで、部屋の壁、天井はけっこうヤニで煤けています。最近、タバコが社会問題となっており、部屋を明渡す際に家主さんからそのあたりを指摘されるのではないかと危惧しています。勿論契約書には禁煙の特約などはありませんし、敷引きは家賃の4か月分ほどを支払っています。ヤニ汚れによる費用を負担しなければならないのか、また今後、タバコ禁止とかの特約を付けられる可能性とか、教えて頂きたいです。
最近は、賃貸借契約の開始、終了時における目的物の原状回復に伴う様々な判断や事例がインターネットなどでも多く取り上げられています。しかし、明確な基準や法律が存在するわけではないので、個々のケースで判断が分かれるところですから、本件も貴殿のケースにおいて判断をさせて頂きます。

まず、貴殿の場合、当該喫煙による部屋の汚損に対する原状回復が賃借人負担となるかですが、居住年数5年、契約内容に特に喫煙に関する特約は存在せず、敷引きという賃借人が無条件で負担する金銭対価が賃料の4月分、及び関西圏の商習慣等から判断すれば、貴殿の負担は無いと考えられます。

原状回復を賃借人負担とするには、契約の締結時に負担箇所及び具体的な範囲を明確に定め、賃料その他の金銭的条件と照らして経済的均衡が著しく賃借人に不利益でないことが前提となるからです(借地借家法、消費者契約法、判例等)。この判断基準は、具体的な判例や、国土交通省を始めとして地方行政機関が示しているガイドライン、運用指針などを援用する前に前提となるものですから、原状回復の本質をここで振り分ける必要があります。

次に、今後の賃貸市場において、タバコを取り巻く環境が変化するかどうかですが、ご指摘のとおり、社会問題化する喫煙の弊害として、貸室のヤニ、臭いなどの汚損は通常の使用とは区別され、特殊な使用用途に分類されることも遠くない現実かも知れません。愛好家には実に気の毒ですが、近い将来、禁煙物件や喫煙特約(汚損は賃借人負担で原状回復)などが当たり前になる様相を社会情勢は示唆しています。敷金等に関する考え方も賃借人の利益に傾くにつれ、家主側としても契約条件に原状回復を賃借人負担とさせるべく、詳細な区分を定める傾向が予想されます。経費の軽減を考えることは当然の結果だからです。

「タバコ吸います?じゃあ、家賃、敷金3割増しね!!」

2008.6.24

〜「ウチの真上にアンテナが!…マンション生活も楽じゃない」〜
Q:
居住しているマンション屋上に携帯電話基地局設置の案が出ています。最上階フロアは全室反対を表明していますが、マンションの理事会は設置の方向で話を進めています。当マンションは600軒(全棟は7棟)ほどあり、なかなか反対票をとるのが難しいと考えております。理事はマンションの資産価値が上がると言っていますが(賃料が月20万円入ってくる予定)本当でしょうか。そもそも当マンションは分譲であり区分所有者が反対しているにも係わらず建設できるのですか。回答とともにアドバイスがあればお願いいたします。
一棟の建物を共有する所有権の形態を採る区分所有マンションにおいては、個々人の好き勝手に共有財産を処分、変更出来ないよう、一定のルールを定め、その正当な利益を法律が保護しています。これが「管理組合規約規則」であり、「建物の区分所有に関する法律」なのです。
まず、大前提として、今回の携帯電話基地局設置の行為が区分所有法に定めるところ(処分・変更・管理)のどの部分に該当しているかですが、携帯電話用電波受信アンテナを貴殿が居住されている号棟の屋上部分に設置するということから、共用部分の変更にあたると考えられ、区分所有法には次の規定が示されています。

第17条 共用部分の変更
「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」
従って最上階全室のみの反対だけでは600所帯の管理組合員の4分の3に対抗することは出来ないでしょうから、総会議決の際には、単純に151議決権を反対票として集めなければならなくなります(但し書適用の規約があれば、76議決権)。このような特別決議を要する案件は、反対意見を管理組合理事会において充分議論し、全体アンケートや個別意見を参考にしながら進めて行かなければ、後に住民同士にしこりを残すことにもなります。また、資産価値は、組合収入が年間240万円増額し、当該マンションの財産が裕福になるという部分では一理ありますが、設置したアンテナの維持管理費用やデメリットも資料を開示させて検討することは必須です。

そのうえで、秘策を一つ。
17条2項 専有部分の所有者の承諾
「前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。」
この定めを援用し、もし、アンテナ設置による重大な影響を貴殿ら上階占有者が少なからず受けるとするなら(例えば、電波障害や電波による健康被害、外観を損なうことによる資産価値の下落など)、関係する当事者の承諾を得なければ決議無効となることをもって、理事会に諮ることができます。充分に納得して結論を導き出してください。

2008.6.19

〜賃貸人の破産…敷金取り戻しの分かれ目は?〜
Q:
平成6年に現在の住居を借り、今も住み続けています。先日、大家さんが来られて「実は近々個人破産をすると思うので、今後のことは債権者の銀行と相談して欲しい」と言われました。この家の契約は、敷金30万円、礼金10万円、家賃は5万円です。契約の時点では銀行からの借金は無く、登記簿もきれいなものでしたが、4年目の平成10年に銀行の抵当権が付いたようです。その後、平成11年に初めて更新の契約を言われ、新しい契約書に署名しましたが、条件は変わらずでしたので、気にも留めていませんでした。契約期間は平成11年から2年間、更新可能で、その後はまた更新契約を行なっていません。大家さんが破産した時、預けた敷金はどうなるのか、また、所有者が変わった場合、ここに住み続けることができるのかを教えてください。
民法619条に規定される「黙示の更新」は、一般的に法定更新と言われ、不動産業界では頻繁に使用される便利な文言となっています。
しかし、通常の賃貸借(この場合は借地や借家を例にとる)契約の約定を見ると、本来の意味での法定更新が適用されている例は非常に少ないということを申し上げておきます。
なぜなら、不動産業界が使用している一般的な約款には、もともと合意による更新を規定し、短期賃貸借(民法602条・平成15年改正により16年3月31日廃止)の制度を取り入れる慣習などから、建物3年以内(土地については5年以内)の契約期間を定めるものが殆どであり、期間満了の都度更新契約を締結する煩わしさを省くために「双方異議を申し立てないときは従前と同一の内容で更新される」との特約により、期間の満了後も賃貸借契約を継続していることを前提とした法定更新とは区別しているからです。

さて、質問者の場合は、契約期間満了前(平成11年)に改めて契約を締結していることから、合意更新とは異なり契約更改と見ることもできます。
その場合は、従前の契約は終了(解約)しており、更改時より新たな賃貸借契約が効力を生じますので、貴殿は平成10年の抵当権に劣後する賃借人ということになりますが、契約期間2年の短期賃貸借は旧法の適用を受けており、家主の破産により抵当権が実行されたといえども、平成21年までは賃借権を対抗できます。
それ以後は競売によって当該借家を買い受けた第三者の明渡し請求後3ヶ月で契約は終了し、借家を明渡さなければなりませんが、敷金返還は買受人に請求することができます。

もし、契約更改が平成16年4月1日以降になされておれば、競売による買受人の明渡しを拒むことができる期間は請求後6ヶ月となり、更に敷金返還を買受人に請求できず、敷金は諦めねばならなかったかもしれませんね。

2008.5.2

〜固定資産税等精算金に消費税って不当利得!?〜
Q:
不動産業者所有の中古マンションを購入し、残代金の精算時に色々な諸経費を支払いましたが、その中で固定資産税、都市計画税、管理費、修繕積立金の精算金に消費税が付加されていました。税金に消費税が掛るはずは無く、管理会社に確認すると、管理費等は非課税扱いと言われました。これは不動産業者の不当利得ではないのでしょうか?
固定資産税や都市計画税の納税義務者は、その年の1月1日現在の所有者です。年の途中で所有者が変わっても、その年の納税義務者が変更されることはありません。
従って、取引で行われている「固定資産税等精算」は、税金の精算をしているのではなく、売主・買主間で取り決めた、各々の負担すべき金額(固定資産税等相当額)を売買代金の一部としてやり取りしているのであって、税法では取得価格に含まれると解釈されています。
つまり固定資産税等の精算は、売買契約上の約定として売主・買主間で履行する義務が生じるのであって、精算される金銭は「固定資産税、都市計画税」そのものではなく「固定資産税等相当額」という物件価格の一部ということになります。
ただし、消費税は建物の売買には課税されますが、土地の売買は非課税となっていますので、精算金のうち建物部分相当額が本件の対象となります。

また、商売をしている個人や会社(以下「事業者」といいます)で、基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合、その事業者は消費税の課税事業者となりますので、売主が不動産業者だからということではなく、課税事業者であるか否かが消費税の転嫁に関わってきます。従って、管理費等も、その清算を売主事業者との間で行うのであれば、当該マンションの価格の一部となりますので、消費税を転嫁しても不当利得とは言えないことになります。

なお、一般的に分譲マンションの管理組合が管理費に消費税を転嫁していないのは、管理組合会計が公益法人に準じて行われ、管理費や修繕積立金の徴収が課税対象事業とされないことや、管理組合そのものが収益事業を行うことがなく、課税事業者になっていない等の理由からです。しかし、法人、非法人組合の別には関係なく、管理組合は消費税法上の課税対象事業者ですから、管理組合の課税売上高(例えば施設や備品の売却等)が1000万円を超えた時は課税事業者となり、管理費(積立金は除く)に対して消費税を転嫁することも違法なことではありません。逆に管理費等に消費税を転嫁して徴収すれば、当然に課税対象収益として会計処理をすることになります。

2008.3.6

〜買い付け証明の法的効力…契約締結に向けた義務とは?〜
Q:
不動産業者所有の物件をインターネット広告で見て気に入り、取り急ぎ購入申込書にサインしましたが、その後価格の交渉をお願いしたら「買い付け証明書」記載金額で買わないのなら物件は売れないと言われました。当方はこの物件を気に入っており、売買契約は結んでいませんが、すでに引越し準備や今住んでいる家の処分を他の業者に依頼しています。このまま物件が買えなかったときは、今まで掛った費用や精神的苦痛を慰謝料として請求したいのですが、認められますでしょうか。
我が国の不動産取引の慣行において、売買契約締結の前段として売主・買主の意思を確定させるために「買い付け証明」「売り渡し承諾」なる書面を交付させることが常時行われています。民法555条は売買契約を諾成契約とし、日用品から高額不動産まで、その目的物に係わらず一律の運用を規定しています。

本件ご質問が契約の締結に至っているか否かの判断を求められ、相手方の債務不履行により受けた損害や苦痛を金銭賠償として追及できるかを回答とするなら、結論は「売主買主双方の確定的意思が合致しておらず(最も重要な売買代金そのものが双方の合意に達していない等)、契約が成立しているとは言えないため、相手方は債務の履行期になく、債務不履行の責任を求めることはできない」となります。

しかし、本件交渉の過程で、売主業者が買主に対して契約締結の確実性を疑わせる経緯が見当たらず、価格交渉においても最終的合意を得られる旨買主に期待を抱かせ、買主が現時点でそれを信じ契約成立後の必要な行為に着手したことは無理からぬことであるにも係わらず、売主業者が正当な事由なく契約の締結を拒んだというような事情があるときは、買主の期待を侵害しないよう務める「信義則上の注意義務」があるとして、業者の不法行為が成立する場合があります(契約締結上の過失を認めた事例:福岡高裁判決平成7.6.29タイムス891号)。特に不動産業者は宅建業法31条や47条等により業務について誠実な対応を求められていますので、単なる自己の都合や、買い付け証明書又は売り渡し承諾書を法的拘束力が無いと軽んじ、相手方を翻弄するようなことは厳に慎まなければ思わぬ責任を取らされることにも繋がります。

2008.2.5

〜敷金を返して!!…家主さんちょっとやりすぎ?〜
Q:
退去後、契約書記載の日数を過ぎても保証金が返ってきません。大家に問い合わせすると「原状回復の必要があるので契約書通りの差額だけでは足りない」といわれました。管理業者に相談しても「こちらが仲介したわけではないので…」と取り合ってもらえず、「直接当人同士で話あって下さいと」言われました。契約書には保証金40万、解約時25万差し引き、残りを返すという契約です。居住年数は10年近くになりますが特に設備が使えなくなっているわけではなく、大きく目立つ破損はありません。入居前何箇所かキズや設備の傷みがありましたが、支障がないので了承の上入居。その後、大家が何度か替わり、その損傷箇所が入居前のものかは実証できません。証拠がないと現在の住人の責任で原状回復請求されるのでしょうか?
賃貸マンションの家主は、不動産投資の収支バランスの中で保有物件の売却購入を繰り返し、賃料収入のみならず売却利益も想定して資産運用をするケースはよく見られる形態です。一方、賃借人の側からすれば家主が誰であっても、賃貸借契約の終了時点で当該貸し室の明け渡しに対する原状回復及び毀損部分の賠償責任は負わなければなりません(民法598条、415条)。

まず、毀損部分の判断ですが、当該物件の居住年数及び築年数を考慮し、通常の使用を継続すれば当然に劣化・故障するであろう損傷や毀損(例えばクロスや床の汚れ、破れ、傷、機械設備の経年による動作不良等)は原状回復には含まれず、引き渡し時の状態で返還すれば足りると考えられています。なぜなら、家主はそのようなリスクを賃料や敷引き金という金銭対価で補うことが求められているからで、「入居時点の原状=新調」という解釈で賃借人から改修工事費や修理交換費用を請求することは、契約に特段の合意が無い限り不当利得(民法703条)と判断されます。

次に本件毀損部分を予め知っていたにも係わらず、新家主に通知しなかったのは生活に支障の無い程度の毀損(日常生活で起こり得る破損)であったからと言うのであれば、これ自体、損害賠償の対象では無いと言えることになり、「誰が何時」ということや、証拠の有無を問題にせずとも、家主が負うべき「賃貸物を通常の使用に適する状態に維持する義務(民法606条)」の範囲に含み、貴殿の債務では無いと解釈出来るかもしれません。

また、管理業者が非協力的なようですが、投資物件のオーナーチェンジで所有者変更に伴う事務手続きを代行する業者と、貴殿が斡旋を受けた元の賃貸業者とが異なる場合、当時の事情も把握していない業者が仲裁に入るよりも、貴殿と家主及び中立な立場の専門家を挟むほうが良いのではないかと考えます。家主からの請求に納得出来ないというのであれば、弁護士などに保証金預かり金の返還請求を依頼されてはいかがでしょうか。

2007.12.1

〜「建築条件付宅地の売買」…表示規約上の注意点は!?〜
Q:
奈良県で不動産、建築を営む者ですが、建築条件を付した宅地を分譲しようとしています。最近、不動産公正取引協議会の表示規約が変更されたようですが、土地契約に停止条件をつける場合の注意点をご解説頂けないでしょうか。
不動産の広告を行おうとするとき、公正取引委員会を主務官庁とする業界の自主規制団体である「不動産公正取引協議会」(以下公取協)の定めた「不動産の表示に関する公正競争規約」(以下表示規約)に従わなければなりません。
ご質問の「建築条件付宅地」の販売については、これまで公取協の定めた表示規約にその規定はなく、同規約施行規則第3条(12)に定めた定義と表示方法に基づき、公取協の運用指針が示されていました。それによれば、購入者と売主事業者(子会社を含む)又は代理人間において建築請負契約を停止条件として土地を販売する場合は、土地購入契約締結後 3ヶ月以内に、売主(売主の100%出資子会社を含む)又はその代理人である建設業者による請負契約を締結すること、及び当該請負契約が成立しなかったときは無条件で受領金銭全部の返還を約することを表示し、当該土地の取引であることを明示すれば独占禁止法19条に抵触しないものと取り扱われていました。
現在では、平成17年11月10日公正取引委員会告示第23号における表示規約第3章(第6条関係・建築条件付土地取引における建物に関する表示)の追加を受けて、「建築条件付宅地」の販売に関する広告表示は以下のとおり規定されています(表示規約6条抜粋)。
 (1)次の事項について見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字により、分かりやすい表現で表示
  ア 取引の対象が建築条件付土地である旨
  イ 建築請負契約を締結すべき期限(土地購入者が自己の希望する建物の設計協議をするために必要な相当の期間を
   経過した日以降に設定される期限)
  ウ 建築条件が成就しない場合、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨
  エ 表示に係る建物の設計プランについて、次に掲げる事項
   (ア)設計プランは参考一例であって、当該プランを採用するか否かは土地購入者の自由な判断に委ねられている旨
   (イ)当該プランに係る建物の建築代金並びにこれ以外に必要となる費用の内容及びその額
 (2)土地取引に必要な表示事項(表示規約第8条)を満たしていること
2007.11.15

〜『新築青田売りの契約解除・・・履行の着手??」〜
Q:
今年2月に新築のマンションの契約を行い、手付金として50万円を支払いました。 引渡しは9月末頃の予定です。先日、希望の銀行に住宅ローンの事前審査を出したところ、希望額の融資を受けることができなかったため、今後の生活設計や契約を見直した結果、契約を解除したいと思い、7月28日に販売会社へ伝えました。私は自己都合による解約のため手付金を放棄しての解除も覚悟していましたが、販売会社は既にカラーセレクト(無償で選択可能)を行っていて履行に着手しているため、違約金がかかると主張してきました。今回のケースでは違約金は払わないといけないのでしょうか? もしカラーセレクトをしていなければ、まだ履行の着手前なので手付け解約ができると担当者が言っていました。
未完成マンションの分譲を行う場合、商品付加価値を高める手法として、プランバリエーション(可変間取り)、設備品オプション、内装品の色柄選択(壁紙や設備品の配色選択・本件はこれに該当するものと思われます)などが、既定商品である集合住宅の欠点を補う販売戦略として普及しています。このような手法は、購入者側からの要求によって変更を余儀なくされた特別な仕様では無く、予めパターン化された商品の選択肢を分譲業者側の営業戦略として付加して提供しているのですから、その選択を終えたことを以って、消費者が当該契約の履行に着手したと結び付けるには無理があります(本件は購入予定マンションの仕様の一部分を構成しているに過ぎず、商品選択をしなかった場合、もしくは未販売住居においても建築工事が中断することはなく、一定のパターンで施工されてしまう実態から見ても、当事者間の契約の履行とは無関係と言えます)。
また、貴殿が契約の履行に着手したからといって、売主が履行の着手前であれば、貴殿の側から解除を申し出ることが出来るのは当然ですから、手付け解除を援用することについては、特段の事情の無い限り異論の無いところと考えます。新築分譲マンションの青田売りでは、このようなリスクを負って事業者は販売を開始するわけですから、ほとんどの場合、売主事業者側の「履行の着手」とは当該物件の引渡しであると判例が示すゆえんです。
他方、本件では融資を条件として特約されているようですので、希望する金融機関の融資承認が得られなかったという場合でも、当該特約に基づきローン解除の援用も可能かと思われます。金融機関やローン商品の選択は、その後の生活に重大な影響を及ぼすため、当然購入者に帰属するものであり、業者側に選択肢を制限する強制力はありません。
  (民法545条1項及び3項、557条、最高裁判例昭和24.10.4民集3・10・437、宅地建物取引業法47条の2第3項及び同施行規則第16条の12第3項、消費者契約法など)
2007.10.15

〜「第三者のためにする契約」…気付かざる問題点!?〜
Q:
登記の中間省略をする場合、第三者のためにする契約を結んだとして、買主と第三者との契約形態はどうなるのでしょうか?また、宅地建物取引業法に規定される「自己の所有に属さない宅地建物の売買制限(法33条の2)」との関係も教えてください。
登記の中間省略が一定の契約形態により可能となったといっても、前号で説明したように、売買契約の単なる中抜きでは、権利変動を公示する登記制度の趣旨からして中間者の登記を省略することは認められません。
第三者のためにする契約とは、売買契約においては当事者(売主A・買主B)が予め第三者(権利者C)に物の所有権を移転する目的で締結する契約(民法537条)をいいますから、買主Bと権利者Cとの間には民法上の売買契約とは異なった契約形式を採用することも考えられますが、一般的(宅地建物取引業者がBの地位を占める契約)には、BC間においては他人の権利の売買契約を締結し、所有権に関して売主A買主Bで締結した第三者のためにする契約に基づくAからCへの直接の移転をなす旨の特約を付帯させるのが良いでしょう。ただし、ここで問題となるのが、ご指摘の業法33条の2の規定です。これについては宅地建物取引業者自らが売主となる場合に抵触しますので、国土交通省令(宅地建物取引業法施行規則15条の6)において、当該業者が買主となる場合で、第三者のためにする契約または買主の地位の譲渡に該当する形態を整えているものについては、法33条の2を適用しないこととする改正(同施行規則15条の6第4号追加)を通達したところです(平成19年7月10日国土交通省総合政策局不動産業課長発第19号)。
一方、BC間の契約形態を民法上に規定されていない契約形式(無名契約、非典型契約)とした場合、その部分は宅地建物の取引とはならず、宅地建物取引業者が売主となっても業法の規律を受けないこととなり、消費者保護の観点から種々の問題が生じる恐れがあります。したがって、Cの立場にある者が一般消費者である場合には、その内容と自らの法的地位を充分に理解したうえでの無名契約締結が望ましく、当該業者の法的知識と説明責任が強く求められると考えますので、慎重な判断が必要です。
2007.8.28

〜「登記中間省略における契約類型」…どんな場合にできるの?〜
Q:
以前、質問をさせていただいた大阪府本部会員です。不動産売買において、登記中間省略が再び出来るようになったことは解りましたが、そもそも中間省略は、主に我々業者が転売目的物件の経費節減のために使う手法で、通常は売主の不動産を出来るだけ安く購入し、買主を見つけて利益を上乗せして売却するわけですから、「第三者のためにする契約」とか「買主の地位を譲渡する契約」とか言われましても、それが何を意味しているのかが全く解りません。解りやすく教えてください。
売買とは、あるモノの所有者が「譲渡人」となり、そのモノを欲する相手方が「譲受人」となって相当対価を支払い、モノの所有権を移転せしむる法律行為を言います。
売主Aはモノを譲ることで金銭対価を得ることを目的とし、買主Bはモノの占有・使用・所有を目的とします。しかし、ご質問のケースでの買主Bの目的はモノの占有・使用・所有には無く、転売利益を得ることですから、当該「売買契約」も当事者の目的に沿って締結されるとするならば、買主Bが当該物件を別の誰か(第三者C)に売り渡すことを前提とした契約内容にすべきという考え方になるのは当然です。したがって、転売人Bの所有権を登記せずに第三者Cへ直接所有権登記を移転させる理由(登記原因)を「当該買主Bの譲受目的は第三者Cへの譲渡」とすることで、A−B,B−C間の物権変動(所有権移転)をAからCへの物権変動であると認めるとしたわけです(運用)。
一方、買主の地位の譲渡は、A−Bの売買契約において、同様にBの地位を譲渡することを予め約定し、第三者CがBの地位を譲り受けた場合、当該売買契約はA−C間で締結したものとするものです。いずれの場合も契約内容、登記原因情報共にそのことを明文化し、売主A及び第三者Cの承諾を得て登記を直接移転させることが前提となっています。したがって、よく行われている「転売利益を得る売却行為を売主には伏せたまま」の登記中間省略を容認したものでは無いので、A−B・B−C間においてそれぞれ別個の売買契約が成立する形態とするなら、現行の登記制度上やはりそれぞれに公示(登記)することが求められてしまいますので注意が必要です。
ただし、どちらの契約形態を採った場合でも、予め第三者Cの具体的な指定がなされている必要は無く、A−B間の代金決済後でも、Aに登記を留保したまま(二重譲渡又はAの債権者からの執行手続き等のリスクはあるが)転売先を探すことも出来ますし、Bに登記を移転(移転先をBに指定する意思表示要)することも出来ます。また、Aに対して新たな印鑑証明書等の登記必要書類の提出を請求することも可能です。
2007.7.31

〜建築途中に施主が失踪…工務店の悲劇!〜
Q:
兵庫県で不動産業と建築業を営むものです。先ごろ三田市内で地主さんからアパート建築の請負を頂き、5月には棟上げも終わり、現在内装工事の段階ですが、この度施主と連絡が取れなくなりました。自宅に伺っても、全く人の気配がしません。近所の方に尋ねると、「どこかへ引っ越した(夜逃げ)みたいだ」とのこと。請負代金もまだ50%ほどしかもらっておらず、これ以上工事も進められず、どうすればよいか途方にくれています。良いアドバイスを頂けないでしょうか。
建物建築請負契約や建売住宅の売買に関し、発注者や購入者の権利を保護するための法整備(住宅の品質確保の促進等に関する法律、建築物の安全確保を図るため建築基準法の一部を改正する法律等々)は着々と進んでいます。一方、発注者や購入者の破産、倒産や債務不履行に対する事業者側の対抗策は私法の定めるところによります。
本件の場合、まず、当該建物の所有権者は地主であることに注意して下さい。そのうえで、貴殿の有する債権(請負代金債権)に基づき、地主が未破産の現段階においては、本件建物(被担保債権の対象)について、貴殿に留置権(民法295条)が認められることに異論は無いと考えます(本件債権は当該建物の請負契約から生じた商事債権であるから商事留置権も成立し、建物も完成間近であることから、敷地についても留置権が認められるケースもある:新潟地長岡支判昭和四六年一一月一五日判時六八一号七二頁・商法521条)。
貴殿は、この留置権に基づき本件建物を占有(使用)することができ、地主に占有をもって対抗することができます。留置権は、物上代位性を有しない(債権者に処分権が認められない)担保物権ですが、貴殿が当該建物を利用して得た収益を、代金の弁済に優先充当するこができます。又、判例等の立場は、本件敷地及び当該地主に債権を有する第三者の競売による買受人は、留置権者が有する債権を弁済しなければ明渡しを請求できないとしています。留置権の成立要件は「債権が弁済期にあること」及び「留置権者占有」ですから、貴殿は残工事を請負契約に基づいて完了させ、他の債権者からの異議に対しては内容証明郵便等により留置権の主張をなすことが必要です。
建築請負と留置権の問題については、その敷地に関して未だ論争が絶えません。紛争ケース(注文者の破産、抵当権者の競売申し立て、商事留置権と民事留置権の関係、敷地に対する留置権の効力の問題等)によっては、その裁判例も異なっています。しかるべき手続に関しては、専門家にご相談されることをお勧めします。
2007.7.4

〜「中間省略復活!?」…登記中間省略とは!?認められた手法は?〜
Q:
大阪市内で不動産業を営む貴協会員です。不動産売買において、いわゆる登記中間省略が再び出来るようになるという情報を聞きました。本当ですか?以前から業を営む者にとって当たり前に行なってきた中間省略が出来なくなったり、また出来るようになったり、一体どういう流れで解釈が変わってきたのか、その全貌を教えてください。
法務省民事局民事第二課は、「規制改革・民間開放の推進に関する第3次答申(平成18年12月25日)第III章の11住宅・土地分野(2)登記制度の運用改善」の中で規制改革・民間開放推進会議、住宅・土地ワーキンググループが指摘した「甲乙丙三者が関与する売買契約であっても、第三者のためにする売買契約の売主から当該第三者への直接の所有権移転登記、又は買主の地位を譲渡した場合における売主から買主の地位の譲受人への直接の所有権移転登記の可否につき、具体的な登記原因証明情報の明示があればいずれも可能である」という旨の内容につき、同ワーキンググループが照会(平成18年12月21日)したことを受け、「見解のとおり」とする回答を示しました(平成18年12月22日法務省民二第2878号)。これにより、現場における取り扱いについて、誤解や不一致の生ずることがないよう、照会・回答の内容を周知するため、平成19年1月10日付けで各登記所、日本司法書士会連合会、不動産取引関連団体に同内容の通知文書を送付しました。
この通知により、ご質問者の言われる「登記の中間省略」が一定の要件の下、事実上可能(復活?)となったのです。今回は、紙面の都合上、過去に「中間省略登記」が利用されるに至った経緯と法的見解を解説します。
本来、「権利に関する登記」とは、民法177条「不動産に関する物権の得喪・変更は、不動産登記法に従い登記をしなければ第三者に対抗できない」という規定が基礎になっています。つまり、物権の得喪・変更=変動した事実を登記するわけですから、登記原因なるものを必ず記載することが要求されています。このような仕組みから、AB間の売買があり、すぐにBC間の売買が行なわれたからといって、AC間で直接所有権の移転登記をすることは、元々許されてはいなかったのです(AC間には原因が無い)。これは不動産登記法の改正前後、不変の原則です。
しかし、最高裁判例(昭和40年9月)が三者の関与する売買契約において、現名義人と中間者の合意があれば、直接第三取得者に所有権登記の移転をなすことを認めたことや、改正(平成17年3月7日)前の実務においては、登記原因を証する書面を必須とせず、登記申請書の副本における申請を受理していたことなどを理由として、主に登録免許税や登記事務手数料、不動産取得税などの軽減を目的とする「登記中間省略」が頻繁に行なわれてきました。

「復活?」したと言われる中間省略登記の具体的申請の方法と、なぜそれが許されるのか(法務局が受理する理由)を解説します。
中間省略登記は、主に、A−B−Cと順次所有権が移転した物権変動の過程において、なおAに登記が存する場合、A−Cに直接移転登記をなすことを言います。平成16年の不動産登記
法改正により、所有権の移転に関して「登記原因証明情報」の添付が必須となったため、A−B、B−C間の物権変動が明らかにされ、法の規定に従いそれぞれに公示(登記)することが求められることとなりました。これにより、上記のようなA−Cへの直接の所有権移転登記は認められなくなりました。しかし、「第三者のためにする契約」や「買主の地位を譲渡する契約」など、一定の類型の契約により実体上もA−Cと直接所有権が移転した場合には、現行制度の下でも直接の移転登記の申請は有効であることや、不動産の流動化、土地有効利用促進の観点から、現場取引の費用低減ニーズに応える必要もあるとして、登記制度を所管する法務省は一定の類型に該当する各申請があった場合、具体的な「登記原因証明情報」の明示をもとに、いずれも可能であるという見解を示しました。以下、その登記申請における具体的ポイントのみを記しておきますので、十分ご理解のうえご活用下さい。
「第三者のためにする契約・登記原因証明情報」記載例

(1) A−B間売買契約において、「買主(B)の指定する者に所有権を移転する」及び「買主(B)への所有権移転は、B自らを指定する意思表示があった場合とする」旨の特約を付し(所有権留保特約)、原因証明情報に記載する。
(2) 「所有権の移転先をCと指定する」旨の意思表示を原因証明情報に記載する。
(3) B−C間売買契約において「Cは登記名義人Aから直接所有権の移転を受ける意思表示をAに対してした」(受益の意思表示)ことを原因証明情報に記載する。
(4) BからAに対して代金の支払いがあったこと及びAからCへの所有権が移転したことを原因証明情報に記載する。
2007.6.25

〜賃貸借契約の原状回復…賃借人の反逆か!?〜
Q:
店舗を貸しておりましたが、この度30年間借りてもらっていた賃借人より解約の申し出がありました。先日、物件を見に行ったところ、外壁に、看板、クーラーの室外機2台が取り付けられており、厨房内の設備も賃借人の不要な業務用の冷蔵庫、流し台、アイスマシン、なべ、ザル、お椀、、椅子、布団等は置いて行くとの事です。契約書には原状回復の条項が入っておりますが、賃借人の言い分は「もともと借りた時はバーの店舗の居抜きで、カウンターなどがあり、約800万円を掛けて店舗(丼屋)に改装した。その時もバーの什器、設備は置いたままであった。だから自分も同じようにする。」との事です。賃借人のこの言い分は認められるのでしょうか?
賃貸借契約の終了(終了原因の如何を問わず)にともなう賃借人の原状回復義務とは、当該店舗を賃貸人の支配下に戻すという、賃借物の返還義務を言います(民法545条)。これは不動産の場合、一般的に明渡しと言われる行為で、巷で問題になっている「貸したときの状態にするため、部屋の中をリフォームして返す」というような意味ではありません。したがって、本件ご質問にある賃借人の所有物(冷蔵庫や什器備品など)をどちらが処分しなければならないかという問題と、原状回復との問題は全く別の次元だということを、まず認識してください。
そのうえで本件賃借人の行為は、通常の明渡しに際して、社会通念上行うべき自己所有動産の撤去処分(いわゆる後片づけや掃除というレベル)をせずに明渡そうとするものですから、貴殿はその処分を当然請求することが出来ます。また、賃借人がそのまま放置することを希望するのであれば、その処分費用を賃借人に請求(支払いを拒むときは、預かり敷金から相殺することを請求)出来るでしょう。ただし、その際には賃借人より残置物の放棄及び処分を依頼する内容の書面を取っておくこと、また処分費用を敷金から相殺することの承諾を得ておくことが必要です。
その他、本件賃借人の言い分から察すると、賃借人が契約当初から現在に至るまで、賃貸人の承諾を得て付加した造作で、当該店舗の経済的価値を高める部分(トイレや流し台設備、定着しているカウンターや電気、ガスの配線配管設備など)については、撤去処分どころか造作買取請求の対象として、時価で買い取るよう貴殿に請求してくることも覚悟しなければなりません。たとえ契約書に「造作買取請求権を放棄する」特約がされていたとしても、30年前の契約であれば旧借家法5条(強行法規)が適用され、当該特約は無効となりますので念のため申し添えます。
2007.6.2

〜賃貸借契約の中途解約違約金…そんなのあり?〜
Q:
来月頭に賃貸で借りた部屋を退去し実家に戻ることになりました。今の部屋は昨年12月に入居したばかりですので4ヶ月での退去になります。契約条件は敷金1ヶ月・礼金1.5ヶ月です。契約書には1年未満の解約時に賃料1ヶ月分の違約金を支払うとの事項がありました。敷金・礼金ゼロの物件であれば、違約金を支払うという項目があるのは頷けるのですが、礼金も敷金もちゃんと支払っていて違約金を支払うのは納得できません。法令上では、支払わなくてはならないのでしょうか?
当該契約が例えば2年間の期間を定めた賃貸借であるとするなら、家主は2年の期間、一応家賃を受け取ることの出来る権利を得ることになります(期待利益)。一方貴殿はその期間居住する権利と引き換えに、賃料支払い債務を負うことになります。したがって、本件特約の目的を推察してみると、契約期間を定めた賃貸借の場合、期間途中で契約を終了させるとすると少なからず当事者の一方に損害を与えることになることから、当該特約には根拠があるということでしょうか。

一方、当該契約には恐らく「契約期間中貸主・借主は契約の解除をなすことが出来る…」という中途解約に関する特約(解約権留保)が盛り込まれていると思います。この特約は、ごく一般的に利用されているもので、定期借家契約で特殊なものを除き、当事者の自由を制限しないためのものですが、貸主の解約権行使には正当事由が必要とされ、借主の権利がより強く保護されています。本件の場合もその特約に基づき正当な権利として中途解約をなされたものと推測いたしますが、特約条項に解約予告期間の定め(例えば、借主は契約終了の○ヶ月前までに貸主に対して通知しなければならない…)があれば、予告期間分の賃料が解約に際して家主の逸失利益に対する損害金又は中途解約に関する違約金とみることが出来る場合もあります。しかし、その期間が1ヶ月程度で、それ以外に1ヶ月分の家賃相当の違約金を中途解約時に科すという特約が、著しく借主に不利で、当該契約の解約に際して家主が被る平均的損害(逸失利益)を超えているといえるかどうかを考えねばなりません(民法617条では期間の定めの無い契約を終了させる場合、解約の申し入れから3ヶ月で契約は消滅すると規定しています。同条準用618条・解約権の留保及び消費者契約法9条1項・消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効を参照)。

したがって、解約権が留保されている契約の場合は、貴殿が4ヶ月で契約を解約されても契約違反ではありません。しかし、前述した家主の期待利益を損なうことは事実であり、経済的均衡を考慮すると一定の違約損害金を規定することもまた違法な契約とはいえないのです(民法420条)。

参考:本来、契約の内容は当事者の合意によって自由に取り決めることができるのが原則ですが、借地借家法では一定の事項について「契約自由の原則」を排除しています(借家の場合は、同法30条が、更新拒絶や解約申し入れの要件を定めた26条から28条、期間を定めた29条、その他37条で、借家の対抗力を定めた31条、転借人保護規定の34条、借地上の借家人保護規定の35条に関する特約で賃借人に不利な特約は無効としています)。しかし、当該違約金支払い特約の有効性については借地借家法の規定には触れられておらず、そのことを定めた本件特約を借地借家法に基づき無効とはいえませんので、念のため申し添えます。

解決!ビビット

2007.3.30

〜「引き渡し前の解除」…違約金の請求は可能か!?〜
Q:
昨年10月に建売住宅を更地の段階で契約しました。契約時、住建会社、不動産会社より重要説明事項の説明をうけましたが、その時点で隣地境界に設置してあるよう壁の越境、隣地の住宅(4軒長屋)の汚水口、汚水管がこちらの敷地に埋設されていることの説明は受けませんでした。結局それらは解決されず60cm×14mも私共が土地を提供する形になり、全く納得いく話ではありませんでした。その他にも外壁に使っているサイディングが欠けており交換することなくそのまま塗装されている、外構の図面の提出を再三求めているにもかかわらず最後まで無し、その他数点についても契約時の打ち合わせと違うことがありました。相手方は引き渡しまでにすべて対処すると言っていましたが、信用出来ず、契約継続を断念しました。回答は違約解約には応じることができない。白紙解約(合意解約)には応じる。手付金のみ返金する、とのことでした。年内に購入の手続きを終え新年には新たな場所でスタートできると思っておりましたのに全く納得のいかない回答でした。ローン契約も整いそれに伴う費用もかかっております。この場合違約解約にはならないのでしょうか?
まず、本件契約の目的不動産が売り建て形態(青田売り)の土地付住宅であることから、土地建物の引き渡し時の状態を予め契約の段階において説明されておられると思いますが、建物が完成し土地と共に引き渡しを受ける時まで、契約が約束どおり履行されるものか不安な状態が続きます。

しかし、このような取引形態の場合、土地建物を引き渡すまでの間に発覚した新たな事実(隣地境界の越境及び有効宅地の減歩、建物の損傷や図面の提示)も含め、当初の約定に則って貴殿に引き渡す義務を売主は負っているのであって、買主は売主に対し義務の履行を催告し、売主は問題箇所の修復と減歩における金銭対価を売買代金より減額するなど、相当の措置を講じて貴殿に引き渡しをすることが必要になります(反対に貴殿は問題箇所における実質的損害を売主に請求することができます)。したがって本件の場合、当該義務の履行がされないと判明した時に初めて「債務不履行」の状態になると考えますので、貴殿の場合、相手方が改善を申し出ているにも係わらず現在の状態で契約を解除するのであれば、債務不履行を理由に違約損害金の請求をすることは出来ないと思慮します。つまり、本件契約条項の違約とは、売主が負うべき債務を履行できないとして売主が契約を解除しようとする場合に、売主が違約金を負担しなければならないのであって、履行期の到来していない(引き渡しを受けていない)状態では債務不履行を理由に解除をすることは出来ず、違約金の請求も出来ないということです。(民法541・545条)

2007.2.15

〜「ここも、あそこも直してよ!」…借家人の印籠!民法601条〜
Q:
このたび、不動産業者の仲介で中古の一戸建てに賃貸で入居しました。引越してから気づいたことですが、お風呂の換気乾燥機の乾燥機能が作動せず、網戸が破れていたり、雨戸が不具合だったりと、あちこちに修理が必要でした。しかし、家主や不動産業者は、現状で引き渡しているもので、新築ではないし、使える部分だけ使って、修理をしたければ自分で直せ、との態度です。これからも不具合が出てきたらと不安です。
賃貸借における修繕義務の区分には、3つのパターンが考えられます。一つ目は契約の時点で発見された不具合の修理。二つ目は契約期間中に出てきた不具合。三つ目は契約の終了後(現状回復)に際しての修理修繕です。

さて、本件の場合は入居してから分かった不具合ということですから、契約期間中の修繕に関する部分と、最初から故障していたと思われる箇所が有りそうですから契約時点での問題との両面で検討することにします。

まず、賃貸人(家主)が目的物(本件では居住用建物)を賃貸する場合、居住に適した状態で目的物を引き渡す義務を負います(民法601条)。本件のような設備に関しては、やはり契約時点での取り決めが焦点となります。つまり、契約内容に設備の有無、その状態が説明されており、当事者が合意のうえで締結した内容についてはそれに従います。しかし、単に設備有りの説明だけで引渡し時の状態が不明若しくは最初から作動不良のような場合は、借主として使用できるものと信じて契約したことに過失はなく、使える状態に修理するよう請求することができます。途中で故障した場合も同様に考えますので、家主は特に機械設備についての修補責任の取り決めを、契約時点でされることをお勧めします(例・本物件に付帯する換気乾燥機については、引越し後○ケ月以内に故障した時は賃貸人が修理するものとし、それ以後の故障については賃借人の負担とする特約)。

また、契約時点では見落としていた破損箇所など入居してから気づくというケースはよくあることですが、現地確認の際、一般的に見つけられるような部分はいわゆる「瑕疵」には当たらず、入居後に修理を依頼しても家主の側から「現状で」と言われることが多々あります。このような場合も契約時点での状態の説明が重要ですが、軽微な補修箇所の場合は「居住に適さない状態」とまでは言えず、現状の範囲に含まれると考えますので「あれもこれも」とはいかないかもしれません。仲介業者も賃貸借のような継続的契約においては、契約終了後もなお仲介の責任を問われることがよくありますので、斡旋する物件の現状把握と当事者の合意を書面で得るよう調査と説明が必要で、その義務を怠っては不測の債務不履行責任を負わされることに注意が必要です。

2006.12.15

〜隣家から被った損害に対する家主からの保障は?〜
Q:
賃貸アパート借主のものですが、先日賃貸アパート敷地内に隣接する空き家の隣家が老朽のため倒壊し、その家屋が借主である私の自家用車の上に落下し、損害を被りました。その後、倒壊した家屋の家主が、登記上不明で持ち主が分かりません。この場合、自家用車の修理費用は賃貸主である大家に全額請求をしてもよろしいのでしょうか?(尚、倒壊直後に大家の方には口頭で修理費を出していただく了解を得ていたのですが、修理後の請求書を渡した後全額は払えないとの答えでした。)
ご質問者の不運にはお見舞い申し上げます。

さて、貴殿が被った損害(自動車の破損)は一体誰の責任なのでしょう。本件のような場合、老朽化した家屋を危険な状態で放置していた倒壊家屋の所有者に責任があるということは疑いのないところです。しかし、当該家屋の所有者が不明であるため、駐車場の所有者である家主に対して破損自動車の修理費用を請求できるかというご質問の答としては、「甚だ無理がある」といわざるを得ません。

損害賠償の制度は(1)損害賠償の認定(2)損害の類型(3)賠償の方法という諸点を関係付けなければなりません。本件の場合は(1)隣家倒壊による自家用車(貴殿の財産)の破損は、倒壊の恐れがある家屋を放置した隣家所有者の不法行為により、(2)貴殿の財産に与えた損害と隣家所有者の放置行為には因果関係が認められ、(3)原状回復に必要な自動車の修理費用及び、付帯費用(修理期間中の交通費など)が金銭によって賠償されます。やはり、本件の相手方は当該家屋の所有者であり、アパートの家主には賠償を請求する根拠がありません。ただし、貴殿と家主との間において本件駐車場の使用につき、予め隣家家屋が倒壊したときの賠償や自然災害などの不可効力について賃借人の損害担保特約などが存在すれば、契約として金銭の補填を受けることは可能です。しかし、一般的には駐車場内の事故については賃貸人は責任を負わない旨の免責特約が主流であり、このような取り決めは稀であるといえます。

したがって、アパートの家主が修理費用の一部でも補填してくれる(恐らく見舞金という趣旨)というのは貴殿にとってはありがたいことですから、あまり無茶を言わないほうが得策であると考えます。

なお、民法606条は賃貸人の修繕義務について規定していますが、これはあくまで賃貸借の目的物(当該アパート又は付属物としての敷地内駐車場)に関し、修繕が必要な事態が発生した時の規定ですから、本件について類推して適用はできません。

2006.12.15

〜「重要な事項の不告知」・・・伝家の宝刀・錯誤無効?〜
Q:
先月、マイホーム建設のために不動産会社の仲介で土地を購入し手付金200万円を売主に支払いました。
早速ハウスメーカーに設計の依頼したところ、購入した土地の前の道路は「建築基準法42条1項5号(位置指定)道路」で、その土地の一部が自動車の転回広場に当たっていることがわかりました。私はこのことの説明を受けていませんでしたし、現地では確認出来ませんでした。結局土地の前面部分、約20m
2が使えないことが分かり、予定していた建物が建ちません。自分に有利に進めるにはどうすればよいでしょうか。
不動産の取引上、このような問題はしばしば起こり得ることです。契約の当事者として最も有利な方法を選択したいところですが、実は処理の仕方によっては法的に解釈の分かれる興味深い問題なのです。このような場合、まず貴殿がどうしたいか、によって方法を探ります。
貴殿がこの土地を気に入っておられ、建物が少々いびつになっても我慢できるのあれば、売主の担保責任(民法566条・用益的権利による制限)の範囲で、買主が被った経済的損失(転回広場部分の対価減額と不完全な目的物の履行による評価損失〉額を損害賠償として請求できます。

一方、貴殿が契約を解除する場合、本件土地の取得は住宅建設が目的であり土地の減少は致命的であるという客観的理由を示し、民法95条「要素の錯誤」が買主にあったとして契約の無効を主張します(ただし、判例は契約の錯誤無効に担保責任は認められないとしていますから、併せて売主に損害賠償を請求することは難しいでしょう)。この場合は仲介会社に業者としての債務不履行があるとして損害(買主の実質的損失や慰謝料)賠償を求めます。

また、本件のようなケースでも契約違反を主張して契約解除及び違約金の請求を求める事例をよく見受けますが、売主に悪意が無く、仲介業者の調査ミスや告知違反などの過失が明らかな場合、売主からは残代金の支払いを含め契約の履行を催告(時には売主から違約を主張)されることも考えられますので、論点を整理して対処することが大切です。
なお、錯誤と担保責任の関係は、権利関係を早期に整理するという趣旨から、特約である担保責任を優先させ、一般規定である錯誤による無効の主張を認めないとしています。